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「ピーナッツ」よりスヌーピー召喚 ゼロの落花生-1 ゼロの落花生-2
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ゼロZセイバー SSR+/機械/男/戦士 エックス待たせたな。だが挨拶は後だ!(ゼロZセイバー) 契約による強化(個人技によるバフ効果を含める) 契約レベル 先攻 防御 回避 王者 戦力アップ、付加効果 +1 0 2 0 0 戦力+5% +5 4 2 0 4 戦力+25% +7 4 3 0 8 戦力+40%連撃が可能になり連撃率が10%アップ 宝具による強化(宝具:ゼットセイバー) 宝具鍛造レベル 先攻 防御 回避 王者 +1 1 0 0 0 +3 2 0 0 3 +4 2 0 0 6 宝具強化レベル 戦力アップ 付加効果 +1 +6% +5 +30% 防御+2、王者+1 +7 +48% スキル「三日月斬」発動後敵の防御を6下げる 所持スキル 三日月斬(個人技) 効果 発動条件 5%の確率で、223%のクリティカルダメージ。回避不可命中後、敵の防御を5下げる。 先攻が40上がるごとに王者が1上がる。(最大5) 常時 ダブルセイバー(合体技:エックスブレードが同一陣容にいる) 効果 発動条件 5%の確率で、280%のクリティカルダメージ。回避不可命中後、先攻が10上がり、ターン数が10減る。 ノヴァストライク(合体技:エックスブレード、エックス、ブラックゼロ、Xアルティメット、ゼロが全て同一陣容にいる) 効果 発動条件 8%の確率で敵の総戦力の25%ダメージ。防御回避不可命中後、敵の王者を20下げる。1回発動 エックスブレードのページはこちら エックスのページはこちら ブラックゼロのページはこちら Xアルティメットのページはこちら ゼロのページはこちら
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部屋割りは、男同士でギアッチョとギーシュ、女同士でキュルケとタバサ、そして婚約者同士でワルドとルイズが同室になった。 「ダメよ!まだ結婚もしてないのに!」 とルイズが抗議するが、ワルドは「大事な話があるんだ」と言って微笑み、彼女は複雑な顔をしながらもそれを承諾。ちなみにギアッチョが「学院で俺と同室なのはいいのかよ」と突っ込むと、ワルドに物凄い眼で睨まれた。 アルビオン行きの船は明後日まで出ないらしい。ルイズは困った顔をしたが、どうにもならないと分かっているようで何も言わなかった。 「そういえば、彼はどこにいるんだい?」 姿が見えないギーシュを指してワルドが言う。ギアッチョは未だ抜け切らないはしばみ草のダメージに顔をしかめながら口を開いた。 「疲れてるらしいんでよォ~~ 一足先に適当な部屋で就寝中だ」 オレもそこを使わせてもらう、と言うギアッチョに、ワルドは特に疑問は抱かなかった。 「・・・それで、大事な話って?」 二人にあてがわれた部屋でワルドに注がれたワインに口をつけながら、ルイズは彼にそう促した。飲み干したグラスを置いて、ワルドはふっと遠くを見る眼をする。 「覚えているかい?あの日の約束・・・ ほら、君のお屋敷の中庭で・・・」 「あの、池に浮かんだ小舟?」 ワルドは優しげに頷いて続けた。 「君はいつもご両親に怒られた後、あそこでいじけていたね お姉さん達と魔法の才能を比べられて、出来が悪いなんて言われてた」 「ホントにもう・・・変なことばっかり覚えているのね」 口を少しとがらせて、ルイズは拗ねたような顔を作る。そんな彼女を見て、ワルドは「婚約者との思い出を忘れたりするものか」と楽しそうに笑った。それから彼は急に真面目な顔になると、 「・・・だけどルイズ 僕は君が才能の無いメイジだなんて思わない」 と言った。 「ガンダールヴ・・・?」 「そうさ あの使い魔君の左手に刻まれているルーン、あれは『ガンダールヴ』の印だ 始祖ブリミルが用いたという、伝説の使い魔だよ」 「ワルド、からかうのはやめて」 ルイズは信じられないといった顔をする。確かにギアッチョはそれこそ魔人のように強い。 しかし、ギアッチョが伝説の使い魔であるなどということはにわかに信じられるものではなかった。メイジの実力を知るには使い魔を見ろと言う。 魔法の成功率が殆ど0%に近い、「ゼロ」という嘲りすら受けている自分の使い魔が、始祖ブリミルの使役していた伝説の存在?信じられない。というか、有り得ない。 もし万が一、いや億が一兆が一、そうであったとしてもだ。それはどう考えても、何かの間違いだ。己の無能さは、自分が一番よく分かっている。 そもそも伝説云々以前に、自分がギアッチョを召喚出来たこと自体が何かの間違いか、そうでなければ神か悪魔の起こした奇跡であるとしか―― 「ルイズ、またネガティブなことを考えているね?」 どんどん落ちてゆくルイズの思考は、ワルドの言葉で停止した。ワルドはルイズの鳶色の瞳を覗き込むと、屋敷の小舟の上で彼女を励ました時の優しい顔で言う。 「君は偉大なメイジになるだろう そう、始祖ブリミルのように・・・歴史に名を残すような、素晴らしいメイジになる 僕はそう信じているよ」 「・・・ワルド、私は」 「――この任務が終わったら、僕と結婚しよう ルイズ」 「・・・え・・・?」 いきなりのプロポーズに、ルイズは眼を白黒させる。そんなルイズを穏やかに見つめて、ワルドは言葉を継いだ。 「僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりはない いずれは国を・・・いや、このハルケギニアを動かすような貴族になりたいと思っているんだ」 ワルドはそこで一度言葉を区切ると、ルイズの頬にすっと手を触れる。 「ずっとほったらかしだったことは謝るよ 婚約者だなんて言えた義理じゃないことも分かってる・・・だけどルイズ 僕には、君が必要なんだ」 ワルドの口調は本気だった。彼は今、本気でルイズに求婚している。 「・・・ワルド ・・・・・・で、でも」 とっさに口をついた言葉に、ルイズははっとした。 でも――なんだ? 幼い頃から憧れていたワルドからのプロポーズに、今自分は「でも」何と返そうとした? ルイズは「でも」の続きを思い浮かべようとするが、しかしいくら考えても一体自分が何を言おうとしていたのか分からない。そんなルイズの胸中を知って知らずか、ワルドは困ったような顔をして口を開いた。 「僕のルイズ、まさか君には好きな人でも出来たのかい?」 「好きな人」と言われた瞬間、ルイズの脳裏に何故かギアッチョの姿が浮かび、 「ちっ、違うのワルド!そうじゃないわ!」 そうじゃないと連呼しながらも、彼女の頭の中はギアッチョで一杯になってしまった。 予想だにしない事態に、ルイズの頭は今必死に心を整理しようとしている。どういう ことかと言えば、要するに彼女はギアッチョを恋愛の対象としてはっきり意識したことなど一度もなかったわけで、ギーシュだのマリコルヌだの・・・まあ前者はともかく後者は論外だが、ともかくそういう順当に思い浮かべるべき男達をあっさりスルーしていの一番にギアッチョを思い浮かべてしまったことについてルイズの脳が納得のいく説明を求めているわけである。 ――ど、どどどうしてあいつの姿なんかが浮かぶのよ! ルイズは耳まで真っ赤にして俯いた。よりによって、よりによってどうしてギアッチョが浮かんだのだろうか。 ルイズは俯いたまま考える。「好き」という言葉で一瞬、本当にほんの一瞬だが、ギアッチョを思い浮かべてしまったということは・・・つまり多少は、いやきっと塵ほどに少しだが・・・・・・・・・その、気になっていたということなのだろうか。 ――そ・・・そんなはずあるわけないわ だってギアッチョよ、とルイズは思う。すぐにキレるし物は壊すし周りは気にしないし礼儀もなってないし常識的に考えて最悪ではないか。穏やかで優しいワルドとは全く正反対だ。 それにワルドは礼儀正しいし気配りも出来る。強さは・・・どっちが上か分からないが、なんたってワルドはスクウェアだ。 それにワルドは頭もいいし・・・いや、ギアッチョも多分頭はいいか。「ま、まぁそこはいいわ」とルイズは次を考える。第一ギアッチョは使い魔ではないか。 使い魔に恋するメイジなんて聞いたことがない。それにあいつは異世界の人間だし・・・それにワルドのほうが格好いいし、それに変な髪形だし変な眼鏡だし変な服だし変な名前だし――・・・。等々、後半はもう殆ど言いがかりなのだが、どうにかして否定しようと躍起になっているルイズにはもはや関係なかった。 あらかたギアッチョの悪口を並べ立てた後、彼女は「と、とにかくありえないわ!」と強引に結論を下した。 「普通に考えたらあんなのもう公害とか災害レベルに迷惑じゃない!誰がそんな奴をす、好きになるのよ!そうよ、何かの間違いだわ!はい決定!終了っ!」 どうしてこんなにうろたえるのかも分からないまま、ルイズは己の思考に強引な結論で無理やりに蓋をする。 ――・・・でも・・・ しかし閉じたはずのその蓋から、かすかに言葉が漏れ出す。 ――でも・・・あいつはいつもわたしを助けてくれる・・・ わたしの・・・かけがえのない・・・ 心ここにあらずといった感じで悶々としているルイズを眺めて、ワルドは苦笑まじりに 溜息をつく。 「君の心の中には、誰かが住み始めたみたいだね」 それを耳にして、ルイズはハッと顔を上げた。 「ち、ちち違うわワルド!そうじゃないの!」 「いいさ、僕には解る 取り消すよ・・・今返事をくれとは言わない でもこの旅が終わったら、君の気持ちはきっと僕に傾くはずさ」 ワルドは気にしないという風に笑うと、「さ、それじゃあもう寝よう」と言いながらベッドに潜り込んだ。 ワルドを見てルイズもベッドに入るが、その胸中はさっき以上に混乱していた。どうして、ずっと憧れていたワルドにはいと言えないのだろう。 どうして、こんなに優しくて凛々しいワルドを拒んでしまったのだろう。ワルドとギアッチョに対する疑問が、ルイズの頭を埋め尽くしていた。 ギーシュのベッドにデルフリンガーを放り投げると、ギアッチョは自分のベッドにぼすんと転がった。 ――ゆっくり考えてる時間がなかったからな・・・ 頭の後ろで手を組んで、ギアッチョは眼を閉じて夢のことを考える。 あの時は何の疑いも持たずに信じてしまったが、リゾットは本当に死んだのだろうか。 ――いや・・・ きっとあれは本当の光景だ、とギアッチョは思う。ただの夢にしては何もかもが精密すぎる。全てがただの夢ならば、どこかで必ず光景のブレや矛盾が出てくるはずだ。 あの夢にはそれがない。最初から最後まで、全てがまるで一本の映画のように精密無比に展開されていた。 しかしあの光景が現実だというのなら、リゾットの死をも受け入れなければならない。 ギアッチョはほんの一瞬苦しげに眉根にしわを寄せたが、すぐになんでもない顔に戻ると、口元に小さく笑みを浮かべた。 「全くよォォー 何うじうじやってんだァオレは?そんなキャラじゃねーだろーがよォォ あのバカ共はきっと地獄で笑ってやがるぜギアッチョさんよ 誇ると言ったからにゃあせいぜい胸張るしかねーだろーが ええ?オイ」 あいつらがどう思うかを考えると、不思議と力が沸いてくる。一人呟いて跳ね起きたギアッチョの眼鏡の奥の双眸は、もういつもの覇気を取り戻していた。 それから彼はしばらくデルフリンガーと話をしていたが、部屋に入ってからずっと「助けてくれ」だの「僕が悪かった」だのという声が煩いので仕方なく立ち上がって開けっ放しの窓からベランダを覗く。 見事に冷凍されたギーシュがギャーギャーとひっきりなしにわめいているので、ギアッチョはギロリと彼を睨んで「仕方ねぇな」と言うが早いかバタンと一片の慈悲も無い音を立てて窓を閉めた。 幸いなことにギアッチョが眠りについたと同時にホワイト・アルバムが解除され、ギーシュはガチガチと歯を鳴らして震えながらも何とか毛布に包まることが出来た。 ベッドと毛布の存在に無上の感謝を捧げながら、彼は眠りに落ちてゆき―― コンコンというノックの音で、ギーシュは眼を覚ました。窓からは燦々と陽光が差し込んでいる。 条件反射で「ふぁい!」と情けない返事をしてから、ギーシュは疲労が回復し切っていない身体を引きずるようにして扉へ向かう。 「おはようギーシュ君」 扉の向こうにいたのはワルドだった。憧れの隊長に名前を呼ばれて、ギーシュは思わず姿勢を正す。ワルドは部屋の中を見回してから、ギーシュに目線を戻して尋ねた。 「使い魔君はいないようだね」 「そ、そのようでありますね きっと一階の酒場とかその辺にいると思われるであります」 ワルドと話をしている緊張と寝起きで働かない頭の為に、ギーシュは口調がおかしくなっている。そんなギーシュに爽やかに笑いかけると、ワルドは礼を言って出て行った。 「珍しいな てめーが起きてるとはよ」 ワルドと殆ど入れ違いのような形で階下に下りたギアッチョは、既に酒場のテーブルに座っていたルイズを見てそう言った。ルイズは明らかに寝不足と解る顔でギアッチョを睨む。 「誰のせいだと思ってるのよ!」 「ああ?」 何を理不尽に怒ってやがるんだ、とギアッチョは自分を軽く棚に上げて思う。 何のことだと言い返そうとしたが、後ろからかかった声にそれは中断された。 「ここにいたとはね おはよう使い魔君」 使い魔君などと呼ばれてあっさり怒りゲージが針を振り切りかけるのを珍しく作用した理性で抑え、ギアッチョは後ろに眼を向ける。人好きのする笑みを浮かべたワルドがそこに立っていた。 優しげな微笑の裏側で、ワルドは激しく思考を巡らせていた。ルイズの気持ちを自分に傾ける為に、そして彼の力を知る為に、なんとかこの男、ギアッチョと「決闘」をしたい!しかし何故だか分からないが、かなりの確率で断られる予感がするッ!ならばどうするか?言い方を工夫するしかないッ! 「決闘したまえ」と命令してみるか?いや、この男は勝手に逆ギレする可能性がある。 この場で暴れられてはいくらなんでも話にならない。やんわりと雑談から入ってみるか? いや、それも却下だ。散々盛り上げておいて断られましたではみじめにも程がある。「頼む、決闘してくれないか」ではどうだ?勿論ダメだ。 貴族が平民にものを頼む時点でルイズは幻滅するだろう。ならば最善手は やはり、「決闘してくれ」だろう。これなら断られても僕の矜持は傷つかないし逆にルイズの使い魔に対する好感度を下げることにもなる・・・よしこれだッ! 奴の能力が見られないのは残念だが、3度ほど頼んでみてダメならさっさと諦めればいい。やはりシンプルだ・・・シンプルがいいッ! 「君に頼みがあるんだが」 平静を装って、しかし真面目な顔でワルドはギアッチョを見る。ギアッチョは一瞬怪訝な顔をしたが、すぐにワルドに向き直った。 「言ってみな」 その尊大な態度にワルドはピクリと眉を動かしかけたが、なんとかそれをこらえて今考えた必殺のセリフを放つ。 「僕と・・・決闘してくれ!」 「いいぜ」 「早ッ!」 予想外の展開に思わず叫んでしまい、ワルドは慌てて咳をした。聞き間違いかと思ったが、ギアッチョは面白い暇潰しを見つけたという顔をしている。 とりあえず今の情けない返事を誤魔化す為にも、貴族らしい返事をしなければならないと考えたのだが――色々と慌てていた為になかなか言葉が浮かばず、焦りに任せて「グッド!」などと更によく分からない返答をしてしまったワルドだった。 渡りに舟だとギアッチョは思った。色々と忙しくて試せていなかったが、あのオールド・オスマンに聞いた力・・・「ガンダールヴ」の効果を確かめるいい機会だ。 それにワルドの実力を知るチャンスでもある。ギアッチョの尋問のせいで誰も聞いていなかったが、彼らを襲った傭兵達を雇ったのは貴族だった。 この任務はアンリエッタの密命で、ワルドも彼女から直々に拝命したと言っていた。 手続きも通さずこっそりルイズの部屋に忍んできたほどなのだから――勿論これは推測に過ぎないが、ワルドにも内密のうちに直接依頼した可能性が高い。 自分はあれからずっとルイズのそばにいた、ならばあの王女様がヘマをしていない限りは、この任務が漏れることはワルド自身からしか有り得ないのだ。もっとも、事実は小説より奇なりなどという言葉を借りるまでもなく、こういった推理は思わぬところで穴が空いたりするものである。ギアッチョはあくまで可能性の一つとして、ワルドを警戒していた。 決闘の介添え人を任されたルイズは「バカなことはやめて」と怒鳴ったが、ギアッチョもワルドも聞く耳持たないことを理解して諦めた。 「なんなのよ、もう!」 「殺しゃしねーから安心しな」 臆面も無くそう言ってのけるギアッチョにワルドがブチ切れそうになったが、一つ深呼吸をしてなんとか気持ちを落ち着ける。腰の杖を引き抜いてビッと前に突き出すと、 「どこからでもいい 全力で来たまえ」 と言い放った。ギアッチョはフンと鼻を鳴らすと、剣を乱暴に抜いて腰を落とす。 それを見届けたルイズの怒りと心配の色を含んだ開始の合図で、決闘の幕は上がった。
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属性 闇属性 最大Lv 70 初期HP - 最大HP - レアリティ ★5 タイプ ウォーリア 初期攻撃力 - 最大攻撃力 - 初期防御力 - 最大防御力 - 初期スピード - 最大スピード - +HP上限 - 最大HP上限 - +攻撃力上限 - 最大攻撃力上限 - +防御力上限 - 最大防御力上限 - +スピード上限 - 最大スピード上限 - リーダースキル スキル名 スキル効果 フォーススキル1 スキル名 スキル効果 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ディレイターン - 効果持続ターン - フォーススキル2 スキル名 スキル効果 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? 進化前 [剣聖の息子]コダチマル ディレイターン - 効果持続ターン - 通常進化 [免許皆伝]コダチマル 特殊能力 - 幻獣契約 [新世代の剣聖]コダチマル 契約素材 [現し世の鬼]ラセツ(2)[涜聖]ブリスヴェルミー(2)[神産み]イザナミ[父神]イザナギ 入手方法 ? 備考 http //crw.lionsfilm.co.jp/news/detail.php?id=625 k=3 資料 *初期or最大ステータス。 コメント 名前
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人工知能搭載人型ロボ・ヒューマギアが、様々な仕事をサポートする新時代。 AIテクノロジー企業の若き社長が、人々の夢を守る為、今飛び立つ! 『令和仮面ライダー元年』 「世界最強の社長はただ一人!オレだ!!」 2019年9月より放送の特撮ドラマ『仮面ライダーゼロワン』に登場する仮面ライダー。 平成ライダーシリーズと入れ替わる形で始動した、令和ライダーシリーズの1作目の主役である。 変身者は飛電或人。「ひでん あると」と読む。演者は高橋文哉氏。 元々は飛電インテリジェンスの創業者である飛電是之助が自社の製品を悪用しようとする勢力の暗躍を察して、 秘密裏に進めていた「ゼロワン計画」の要となる、セキュリティ用のツールである。 + 変身者「飛電或人」の詳細 「笑うなよ……何も分かってない癖に、人の夢を笑うんじゃねえよ!」 「人の夢ってのはなぁ!検索すれば分かるような、そんな単純な物じゃねえんだよ!」 本編開始時点にてお笑いピン芸人「アルト」として活動していた22歳の青年。 しかし、笑いのセンスが壊滅的であり、鳴かず飛ばずの日々が続いていた*1。 出演先の遊園地から「お笑い芸人型ヒューマギア・腹筋崩壊太郎の方が面白いから」という理由で解雇通告を言い渡され路頭に迷っていた所、 他界した祖父「飛電是之助」の遺言により、 彼が経営していた大企業「飛電インテリジェンス」の二代目社長に突如任命されてしまう。 遺言の内容を知らなかった会社の重役達から「経営の私物化」と非難を受けるが、 或人は「多くの人を笑顔にしたい」という自分の夢を諦め切れなかった事や、経験も無い経営職に就く事は不相応である事は理解していたため、 祖父に申し訳なく思いつつも一度はこれを断ったが、 前述のヒューマギア・腹筋崩壊太郎がサイバーテロリスト「滅亡迅雷.net」にハッキングされて変貌した戦闘兵器マギア「ベローサマギア」に遭遇。 「人間の夢」を嘲笑い、踏み躙るマギアの所業に我慢できず、 社長秘書「イズ」から受け取った飛電ゼロワンドライバーで変身し、これを撃破する。 飛電インテリジェンス社長にしか使用権限がないゼロワンドライバーを使用した事で、是之助の遺言に承諾したとみなされ戸惑うが、 マギアを倒し、人々を危機から救い笑顔を守った事で自分なりの笑いの取り方を心得た事から、 一度は拒否した二代目社長の座に就き、ゼロワンとしてヒューマギアの暴走に立ち向かう事を決意する。 生まれて間もなく両親は他界したと劇中で言及しており、家族は1話時点で亡くなった是之助のみだったらしい。 このため、多忙な祖父に代わり、幼少期は亡き父と同じ姿・名前をしたヒューマギア「飛電其雄」に育てられた経歴を持つ。 しかし、本編の12年前に住んでいた区域で街1つが壊滅する程の爆発事件「デイブレイク」が発生し、 其雄は爆発から或人を庇い、「夢に向かって飛べ」という言葉を遺し、修復不可能なまでに大破してしまう。 或人が「人を笑顔にする」職に拘っていたのは、幼き或人が其雄がヒューマギアと理解した上で「父」として慕い、 旧型故に感情表現に乏しかった其雄を何とか楽しませて笑わせようとしていた経験と、 自分は機械だから無理だろうと諦念の態度を取りつつも、決して”息子”の夢を否定しなかった其雄の遺した言葉がきっかけとなっている。 この出来事は或人の人格形成に大きな影響を与えており、 或人はヒューマギアをモノ・道具ではなく、1つの存在・機械の生き物として見なしている*2。 しかし或人には機械の技術や知識、経験などは一切なく、ヒューマギアについてもド素人並みに知らない事ばかりであり、 ほぼコネのみで会社のトップに収まったため、元から飛電インテリジェンスの重役の座にいた社員達からの心象は良くなく、 公の場所でこそ「社長」呼びで敬語を使われているが、 副社長の大島福添准を中心に、裏工作や嫌がらせこそされないものの、仕事を学ぶという名目で外回り営業など下っ端のような仕事をさせられ、 何かにつけて社長の座を降ろさせようと企まれている。 このため、或人のまともな仲間は通信衛星ゼアとヒューマギア、つまり機械ばかりであり (歴代作品によく出るおやっさんポジションすら本作に存在しない。あと、戦闘用のヒューマギアはおらず主に裏方支援の上、 機械故にハッキングされて敵対したり、バックドアを仕込まれている無自覚なスパイもいる)、 ライダー作品の主人公の中でも突出して孤立無援の戦いを強いられている。 唯一、有事には所属の垣根を越えて助力する不破諫/仮面ライダーバルカンのみが明確な協力者と言える。 その不破でさえ敵対する可能性があったり……(ただし、これは不破側の意図するものではない。不破個人はむしろ或人には好意的)。 とはいえ、滅亡迅雷.netに対抗するにはゼロワンに変身できる或人の存在が不可欠であり、 或人自身、自分が横入りした異物である事は十分承知しているため、そうした社員達の態度にもとやかく言わず、 「ヒューマギアの社会普及」という目的意識は一致している事もあり、或人が会社に不利益な事態を起こさない限り基本的には協力して会社を運営している。 また、或人が文字通り命懸けでゼロワンとして戦っている事は重役達も承知しており、その点はきちんと評価されてもいる。 作品概要 本作は「AI(人工知能)」と「仕事」を作品のメインに据えており、 高い自立稼働機能を備えて多種多様な職種に派遣される人型ロボ「ヒューマギア」を主軸にして、*3 主人公はライダー作品の主役では初となる企業の社長という、ヒーローとは別に重大な立場にも就きながら、 自社のヒューマギアがハッキングされて変貌した兵器「マギア」や、 自我が芽生えたヒューマギアを”解放する”ために戦うサイバーテロリスト「滅亡迅雷.net」の仮面ライダー達、 裏で暗躍する敵対企業「ZAIAエンタープライズ」の仮面ライダー、ヒューマギアに悪意を持った人間が変身する「レイダー」に立ち向かうという、 近未来的なテクノロジーを扱ったSF色の強い作風となっている。 また、本作は「単なる男の子向けに限らず、子供も大人も関係なく楽しめる」をコンセプトに製作していると公言されており、 主人公の或人が元お笑い芸人だけあって全体の雰囲気としては明るいのだが、 ほぼ毎回罪のないヒューマギアの犠牲が出たり、状況次第で或人が孤立無援になってしまったり、 高性能なヒューマギアによって仕事を奪われた人間の悪意が描写され、それに呼応するかのようにヒューマギアもまた悪意に目覚めてしまったり、 劇場版『令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』では、歴史改変によるif展開とはいえ、 人類を絶滅させようとするヒューマギア達とそれに抗う人類のレジスタンス軍との戦いが描かれたり等、 平成ライダーシリーズに負けずハードかつシリアスな作品でもある。 「ゼロワン」という名前は令和最初のライダーという事で「令和の1号」という意味の他にも「01(れいワン))」というとても面白いギャグ語呂合わせ、 「0と1が羅列するデジタル世界を駆け抜ける」、「企業のナンバー1」など複数の意味があり、 劇中でも決めゼリフの「〇〇できるのはただ一人、オレだ!」という形で更なる意味が付加されている。 また、本作で主役ライダーのスーツアクターが、多くの主役ライダーの中の人を務めた「ミスター平成ライダー」こと高岩成二氏から、 縄田雄哉氏へとバトンタッチされた。*4 また、スーツ自体も縄田氏の頭にぴったりフィットする非ヘルメット型の頭部による小顔でスマートなシルエットの実現、 新素材の採用やパーツ配置の工夫で腕組みすら可能な程に向上した可動域など、これまでのスーツとは一線を画す画期的な試みが随所に見られる。 基本形態のモチーフであるバッタは仮面ライダーシリーズにおける定番だが、 それに加え、他のライダーの基本形態のモチーフに狼、隼、蠍などが使用されたり、作中で「アーク」という名称が用いられるなど、 旧約聖書、新約聖書を連想させる要素が多いのも特徴。 バッタ自体も旧約聖書にサバクトビバッタによる蝗害の記述があるなど関連付けられるモチーフの一つであり、 実際にそのサバクトビバッタと蝗害のイメージを反映したフォームも登場している(後述)。 全くの余談だが、2022年にAIによる自動画像生成ツールが実用化され始めたことで、 『ゼロワン』の劇中で描写されたように仕事を機会に奪われるのではと絵師の間で物議が醸され、 先見の明があった作品として再注目される出来事があった。 形態 ライジングホッパー A jump to the sky turns to a rider kick. 「ライジングホッパープログライズキー」によって変身するゼロワンの基本形態。 その名の通りバッタを投影した戦闘能力を持ち、強靭な脚力を武器とする。 必殺撃はライダーキックに相当する「ライジングインパクト」。 一度相手を上空に蹴り上げてからジャンプで追い越し、空中でキックをお見舞いするパターンと、 地上の相手にそのまま飛び蹴りを浴びせるパターンの二種類。 また、本作のライダーは必殺技の発動の際に文字による演出が入る。 変身の際には衛星ゼアから「ライダモデル」というバッタ型のエネルギー体が照射され、 このライダモデルが変身者の周囲を跳ね回る事で敵への牽制をする(変身時の隙を隠す)のだが、 衛星軌道上から照射される都合上、「屋内で変身すると巨大なバッタが天井を突き破って降ってきて、周囲を破壊しまくる」 という結構傍迷惑な変身シークエンスをとる(演出などの都合上、省略される事も多いが)。 + 派生形態及び強化形態など バイティングシャーク Fangs that can chomp through concrete. 鮫を投影した能力を持つ「バイティングシャークプログライズキー」によって変身する形態。 水から酸素を抽出して疑似的な鰓呼吸ができる「ラビリンスラング」やフィールドを展開して自身の形状を流線型に近付け、 サメ肌状のテクスチャーで抵抗を軽減させる「フィールドスキナー」等、水中戦に適した機能を多数搭載している。 必殺技は前腕のシャークガントレットから発生したエネルギー刃で、獲物を噛み砕く鮫の顎に見立てて敵を挟み込む「バイティングインパクト」。 この能力で水中に潜伏中のアークを破壊しに行かなかなかった事はよく突っ込まれる。 フライングファルコン Spread your wings and prepare for a force. ハヤブサを投影した能力を持つ「フライングファルコンプログライズキー」によって変身する飛行能力を持つ形態。 必殺技は「フライングインパクト」。 先行登場した劇場版『Over Quartzer』ではこの形態で仮面ライダーゾンジスを倒し華々しい印象を残したが、 TV版では序盤にプログライズキーが奪われ敵の変身用に使われたため、その敵を倒して取り戻すまで長らく使う機会に恵まれなかった。 フレイミングタイガー Explosive power of 100 bombs. トラを投影した能力を持つ「フレイミングタイガープログライズキー」によって変身する形態。 前腕の「タイガーガントレット」には1800℃の炎を発する「パンテラバーナー」が装着されている他、 「モビフレクサー」によって全身の柔軟性が向上している。 必殺技は炎を纏って突撃する「フレイミングインパクト」。 フリージングベアー Fierce breath as cold as arctic winds. ホッキョクグマを投影した能力を持つ「フリージングベアープログライズキー」によって変身する形態。 前腕の「ポーラーフリーザー」から凍結剤を放ち、手足の「ベアークロー」で敵を砕く。 また、極低温装甲「トランスパー」で触れた物質から熱を奪う事ができる。 必殺技は冷気で敵を凍らせてからチョップで砕く「フリージングインパクト」。 ブレイキングマンモス Larger than life to crush like a machine. マンモスを投影した能力を持つ「ブレイキングマンモスプログライズキー」によって変身する形態。 元々は大規模災害時に個人単位で運用できる救助・防災装備として設計され人工衛星ゼアに搭載されたシステムで、 変身時にはゼアを構成するパーツの一部が分離・圧縮して転送された後、 ゼロワンはライジングホッパーの形態でパワードアーマーに乗り込み、操縦するような形で戦う。 必殺技はプログライズキーを模した左腕のパーツ「マンモスプレッサー」を切り離して巨大化させ、キックの要領で敵を押し潰す「ブレイキングインパクト」。 シャイニングホッパー When I shine, darkness fades. 「シャイニングホッパープログライズキー」によって変身する強化形態。 額に演算処理装置「シャイニングアリスマテック」を備え、 敵をラーニングする事で行動を予測して約25000通りの対処パターンを算出、約0.01秒で最適解を導き出す事ができる。 しかし、変身者がそれに追随できるように潜在能力を強制的に引き出す能力も備わっているため、 戦闘後は強烈な負荷に見舞われてしまうリスクが存在する。 バッタモチーフのままでの正統進化的なデザインに人気はあるが、 程なくして出たシャイニングアサルトホッパーの方が設定上上位互換かつ低リスクなため活躍はほとんど無い。 シャイニングアサルトホッパー No chance of surviving this shot. シャイニングホッパープログライズキーにアサルトグリップを装着して変身する強化形態。 胸部に戦闘補助装置「オービタルユナイト」を備え、 リアルタイムの出力調整を行う事で、肉体への負担を極限まで抑えたままシャイニングホッパー時の演算処理や高速移動能力を維持できる。 一方でアサルトグリップには形態の動作効率を最大化する補助を行う代わりに、安全装置やリミッターの類が一切廃されているリスクが存在したが、 シャイニングホッパー側の機能がそれらを担当する事で補い、互いの欠点を潰しつつ利点を最大限に引き出す構造となっている。 また、この形態独自のシステムとして、オービタルユナイト内に組み込まれた「シャインシステム」を持ち、 青いエネルギー「シャインクリスタ」を展開し、レーザーのように射出してオールレンジ攻撃したり、密集させてシールドにする事も可能。 アサルトグリップは本来は滅亡迅雷.net専用に製造された装備であり、 確たる理由があって使用できたバルカンはともかく、ゼロワンまで使用できた理由は不明。 アサルトグリップとシャイニングホッパープログライズキーに互換性があったのはゼアが滅亡迅雷.netの行動を予測していたためだが、 認証などの都合によりそれだけで使用可能になるはずではなく、使用者の或人自身に何らかの理由がある事が示唆されていたが、 結局本編で明かされる事は無かった。 メタルクラスタホッパー It's high quality. 通信衛星アークを利用して敵対企業の「ZAIAエンタープライズ」で作られた、 「メタルクラスタホッパープログライズキー」による形態。 これは、ZAIA日本支社社長の天津垓が部下の刃唯阿に命じてアークに作らせたプログライズキーで、 天津が或人に視聴者視点で1か月近く嫌がらせと圧勝を繰り返し、自分への強い怒りと憎しみを抱かせた上で、 アサルトグリップを通じてアークと同期させ、強制的にベルトに装着してこの形態に変身させた。 特殊金属「飛電メタル」による高い強度と柔軟性を持ち、ボディを無数の小型バッタ型「クラスターセル」に分離したり、 クラスターセルをあらゆる形に変形、分離、融合を行い攻守共に他のライダーをも寄せ付けない強力な能力を持つが、 変身中は意識がアーク内の悪意で満たされたデータ空間に囚われて自由が効かなくなる上、 一度変身を行うとメタルライザー内にあるプログラム「プリズメントチェイン」によって、以降は他のプログライズキーが読み込めなくなってしまう。 「強大な力の代償に想定外の制御不能な副作用がある」「常人は制御できないが変身者だけ特別だから使える」 というのが定番のライダー作品の暴走フォームの中で、 前代未聞となる完全に制御度外視で変身者を暴走させるためだけに作られた形態。 おまけに上述のようにその場しのぎで他のフォームを使う事もできず、 或人は変身しないか、暴走を覚悟で使うかの2択を迫られる事となった。 しかし、イズを中心にそれ以前に或人と共に活動してきたヒューマギア達が、 「悪意に対抗できるのは善意」という言葉をヒントに、 各自がラーニングした仕事のスキルを最大限に駆使して必要なデータを揃え、 ヒューマギア達の善意のデータをプログライズキー化した「ヒューマギアプログライズキー」と「プログライズホッパーブレード」により、 クラスターセルを刀身内のエネルギー増殖炉「メタルブレードリアクター」に吸収。 小型のライダモデル「リトルクラスタ」に統合させて、そこから再度クラスターセルを展開し、アーマーを再構成させる事で、 ヒューマギアの善意によってアークの悪意を相殺し、或人の意思を保ったままその力を振るえるようになった。 戦闘時は「アタッシュカリバー」と「プログライズホッパーブレード」を合体させた巨大武器を振るって戦う。 制御できた代わりに能動的にクラスターセルを使用しなくなった(できなくなった?)が、 プログライズホッパーブレードの青い刀身「ブレードマーカー」にクラスターセルを吸収・制御する事で、 斬撃として放出、またはそのまま斬り付ける攻撃が使用可能になっており、 単体の必殺技でクラスターセルで自身の複製を生み出し同時にキックを相手へと放つ「メタルライジングインパクト」、 武器の必殺技でクラスターセルを斬撃に乗せて放つ「プログライジングストラッシュ」がある。 + ネタバレ注意 仮面ライダーゼロツー Road to Glory has to Lead to Growin' path to change one to two! 飛電ゼロツードライバーにゼロツープログライズキーを装填して変身するゼロワンの後続機。 ハード(ベルト)に新規ツールや外付けアイテムの上乗せで強化する事が多かった平成ライダーと異なり、 変身道具を最新の機器に丸ごと一式取り換えるという前代未聞の強化形態。 サブライダーであれば一応前例こそあったが、これまでの主役ライダーはベルトは替えの効かないワンオフなアイテムとして扱い、 ハードはそのままにソフト交換や外付けアイテムによりフォームチェンジや強化を演出していたため、視聴者を驚かせた (作品内で既存の変身アイテムを型落ちの中古品扱いにしかねないという点もある。 本編では飛電ゼロワンドライバーが破壊されるという展開で説得力を持たせている)。 衛星ゼアのサポートを受けて変身していたゼロワンと異なり、 ゼロツープログライズキー自体にゼアの人工知能が搭載されているため、衛星が乗っ取られた現状でも変身が可能。 ライジングホッパーに似た非常にシンプルな姿だが、スペックは大きく向上しており、 加えてシャイニングホッパー以上の空間転移としか形容できない超高速移動、小型化された「シャインシステム」、 マスク部分を含む各部装甲に飛電メタルの技術が取り入れられるなど、既存のホッパー系の形態の技術が小型化・最適化して搭載されている。 加えて、ゼアのライダモデルや様々な武器や変身アイテムなどを生成する照射成形機「ビームエクイッパー」がライダーの能力として搭載されており、 瞬時に武器や変身ツールを精製する事が可能となっている。 しかし、最大の特徴は演算能力。 ゼロワンに登場する仮面ライダーは多くがラーニングによる行動予測能力を持っているが、 ゼロツーは人工知能ゼアが一体化しているために他のライダーや形態のそれを上回り、 0.01秒毎に2兆通りもの予想から最適解を選び出し変身者に伝える事を可能としている。 その描写は単なる行動予測の範疇を超えた、機械的な未来予知と言っても差し支えなく、 敵が何をしようが必ず最適解で対応し、かつワープの速度で回避・防御・迎撃が可能。 首元にある「02」の形状に見えるパーツだが、「0」の部分は「クォンタムリーパー」という次元量子跳躍装置であり、 同一世界線上にゼアの予測する結果を同時に存在させる事が可能。 左肩へ流れる「2」の部分は「ゼロツーストリーマ」という姿勢制御装置で、 指向性を持たせた光を放つ事で高速行動中の制御を担うスタビライザーとして機能する。 その光景は、さながら赤い光のマフラーが棚引いているようにも見える。 ちなみに『ゼロワン』は全45話なのだが、登場は40話と大分終盤であり活躍も少なめとなっている。 これは新型コロナウイルスの流行に伴い、撮影が1か月半に亘って止まってしまった影響が大きい。 結果として、劇中最後の活躍が「憎悪と悲しみ捕われ、それを救わんとする仮面ライダーバルカンを一方的にあしらう」という、 到底ヒーローとは思えない場面となった。 「人と人工知能が共に歩んでいく証」と称したゼロツーが、「ヒューマギア・亡と人間・不破が想いを一つに力を合わせた証」である、 オルトロスバルカンをねじ伏せるというのが何とも皮肉である。 また、「ヒューマギアの善意の結晶」であるプログライズホッパーブレードを邪魔だとばかりに無造作に投げ捨てた事も物議を醸した。 尤も、或人の方からは手を出していない事や後述のアークワンではなくゼロツーで対応した事(つまり、バルカンに敵意や憎悪を向けていない)から、 バルカンの言葉は届いていて、それが或人が立ち直る切っ掛けにもなっており、 一連の全てが「悪意に対抗するのは力では無く善意」という終盤の展開を象徴するものにもなっている。 もっとも、不破がこの時初めて或人に名前で呼びかけるという熱いアドリブが無情にも不採用になったということからスタッフとしては2人にはそこまでの絆は存在していないという見解であるようだ。 そして、劇場版『REAL×TIME』では「別のベルトで変身する」という点が功を成す事となる。 仮面ライダーアークワン 破壊! 破滅! 絶望! 滅亡せよ!コンクルージョン・ワン… 人類とヒューマギアの滅亡を目論んだ通信衛星アークこと仮面ライダーアークゼロは撃破されたが、 ヒューマギアのため次なるアークを生みかねない人類は滅ぼさねばならないと考えた滅は、 説得を試みたイズを迷いを断ち切ろうとするかのように破壊。 それにより憎悪と悪意に飲まれた飛電或人が、アークゼロの発展版であるアークドライバーワンとアークワンプログライズキーを使い変身した形態。 ライダー作品史上前代未聞となる、洗脳や暴走ではない主人公の変身者が己の意思で闇堕ちした形態である。 装甲「パワードスーツシュレーディングテクター」は変身ベルト「アークドライバーワン」から放出された液体金属が、 装着者を包み込む事で形成される。 耐靭性、耐摩耗性に優れた特殊生地内には流体金属が封入され、柔軟性を維持したまま装甲としての機能を果たしている。 他のライダーシステムと比較して、生命維持や人命尊重のための装備が極端に軽減されており、 変身者の負担も大きいが殺傷能力も高く、さらに変身者の「悪意」を力に変換し悪意の波動「スパイトネガ」を生み出す事ができる。 また、変身者の悪意以外の感情を鎮静化させ、意識をネガティブな面に集中させる事で悪意の化身とも言うべき存在と化させる効果を持つ。 主人公が、倒した黒幕の後継者同然の存在になるという展開は視聴者に衝撃を与えたが、 元々或人は上述のように歴代主人公と比較してあまりに孤立無援かつ殺伐とした境遇に置かれており、闇堕ちの資質は整っていた。 それ以前にその兆候がなかったのは、イズが終始理解者として側にいた事や、幼き頃の父との思い出が支えになっていたためだった。 だがそれは或人のヒューマギアに感情移入しすぎる性質とも直結しており、 こうした負の面がイズの「死」により、支えとしていた理解者の喪失、其雄との離別に由来するトラウマ、 良心を自ら捨てるような選択をした滅への怒り等が相乗的に重なり、最悪の状況で形を成した結果である。 児童誌などでは「ゼロツー対アークワン」という本来あり得ない描写がなされており、 新型コロナウイルスの流行による撮影休止などの影響に伴い、大きな展開の変遷があった模様。 実際、劇場版公式Twitterでも本来の予定では無かった事が明言されている。 なお、アークワン初登場(並びに或人の闇堕ち判明)回の同日にはスーパー戦隊シリーズ『魔進戦隊キラメイジャー』においても、 キラメイジャーメンバーの一人「キラメイシルバー」が闇堕ちするという展開が発生したため 偶然にもスーパーヒーロータイムが1時間「ヒーローが闇堕ちする展開」になるというとんでもない事態になっていた。 更に新型コロナウィルスの影響で公開延期した劇場版『ウルトラマンタイガ』のCMではウルトラマンタロウが半年間闇堕ちし続けており、 タイガがタロウ、或人、キラメイシルバーに「邪悪な力に負けないでください!」と呼びかけるネタが一部で流行ってしまった。 リアライジングホッパー A riderkick to the sky turns to take off toward a dream 最終話に登場した”仮面ライダーゼロワン”としての最終形態。 名前の由来は主題歌である「REAL×EYEZ」(「実現する」という意味の「Realize」との掛け言葉でもある)から。 通信衛星ゼアのサポートなしで変身するため、或人の身体にアーマーが直接装着され変身する。 外見はドライバーからわずかに覗くキー以外はライジングホッパーと全く同じ。 ライダモデルを量子分解した上で生成された素粒子をリサイズしてドライバーに還元する「リアライズ」により、 ドライバーの限界を超えた高出力を生み出しているが、負荷が大きく稼働時間は限定されている。 アークワンと化した或人を止めるべく不破が立ちはだかった際に、 手加減のためにゼロツーに変身した事で接続したゼアの内部領域で、 バックアップ消失により本来は絶対にありえない其雄の意識データとの再会を果たし、 それに伴いゼロツードライバーのビームエクイッパーにより復元された「飛電ゼロワンドライバー」と、 連動してライジングホッパープログライズキー自身が「俺を使え」と言わんばかりに変化した、 「ライジングホッパープログライズキーゼロワンリアライズVer.」(名前長すぎ)を用いて変身した。 必殺技はキックを相手へ放つ「リアライジングインパクト」。 基本スペックはゼロツーより下で時間制限もあるが、 本来仮面ライダーゼロワンはメタルクラスタホッパー以上の強化はできないという結論がゼアの計算で出ていた。 加えてアークの計算では、 「アークワンと化した或人と滅の争いが、やがて悪意の連鎖の果てに『人類とヒューマギアの争い』に発展する」という結論が出ていた。 リアライジングホッパーはそのどちらの計算においても存在し得なかった存在であり、 即ち単なる最終形態ではなく、人が技術的限界を越えたり、悪意を乗り越える事ができるという事を体現した形態である。 ライジングホッパープログライズキーがいかなる理屈で変化したかは劇中で解説されていない。 (ビームエクイッパーはあくまでツールを製造する類で、既存のツールをアップグレードするような機能は確認できない) しかし、この現象はゼロワン全体の物語における数々の出来事を踏まえて、 ”プログライズキー自身が自らの意志で或人の想いに応えるべく進化した”という説が有力視されている。 少なくとも『ゼロワン』劇中に登場した数々の自我に目覚めたヒューマギア達を見れば、それをロマンチストな妄言と断じる事はできないだろう。 + 共演に関する余談 ゼロワンは、前作『仮面ライダージオウ』の劇場版『Over Quartzer』に先行登場しており、 ソウゴが「ジオウの放送が終わり、新しいライダーが始まる夢」を見た後、 決戦の後、クォーツァーの生き残りである仮面ライダーゾンジスの前に現れ、トドメを刺す役割を担った。 ソウゴは夢として見た光景を創造する力を持っている事は劇中で公言されているため、 順当に考えれば、ゼロワンはジオウによって因果律を確定される形で誕生したライダーと言えると共に、 同作品単品で見ればゼロワンは全平成ライダーが存在する世界線で、 ソウゴが新しい未来を切り開いた影響で生まれた仮面ライダーとも言える。 一方でTV版最終回では、ソウゴがタイムジャッカーの手で統合された世界を再構成する際に、 自分の世界を持たない仮面ライダーディケイドを除く19の平成ライダーの世界と、 ツクヨミの元居た世界線、ゼロワンの世界線を加えた合計21個の世界に分離させたとされており、 こちらではゼロワンはリセットされた「ジオウの世界」に上書きされた歴史の仮面ライダーであるかのように扱われている。 ジオウの劇場版とTV版の繋がりがループ物かパラレルなのかはファンの間でも見解が分かれるが、 いずれにせよゼロワンの時間軸はジオウによって間接的に作られた事になっている。 劇場版『令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』ではジオウ側の設定はTV版準拠となっているが、 ゼロワン側の情報がTV版と噛み合わない部分もあり、これに関してはタイムジャッカーの時間改変のせいとも、 単純にパラレル扱いとも取れる描写となっているため、各平成ライダー作品との繋がりは不透明となっている。 ただし、公式サイトでは劇場版について「アナザーゼロワンが誕生するまでは正史」と解説されており、 実際にTV25話では『令ジェネ』の映像を一部流用したシーンもあるため、 少なくともゼロワン側単独の歴史については基本情報を共有していると考えてもいいようである。 配信作品で出てきた『エグゼイド』の檀親子は別世界からやってきた説がある 『ゼロワン』で聖書をモチーフにしたライダーが多い事や、ジオウとゼロワンが類似した未来予知的な能力を持つ事を踏まえて、 ジオウを創造主に見立てると、ゼロワンはある存在の暗喩とも取れる。 一度飛電ゼロワンドライバーを破壊されて変身不能になったゼロワンが最終回で再度蘇る形で変身可能になった展開など最たるものである。 ゲーム『KAMEN RIDER memory of heroez』では、 Wやオーズらと共にメインビジュアルやタイトル画面で並ぶなど同格として扱われているが、 メインストーリーは財団Xとの戦いという事もあってか主役はWとオーズとなっており、ゼロワンはゲスト的な立ち位置に留まっている。 性格面も会話の度に一発ギャグを挟み込むなど、番組の放送終了から間もない発売の割に初期に近いキャラ付けである。 なお、同作では何故か『仮面ライダーW』のキャラ以外は人名を出してはいけない縛りを強いられており (唯一名前が出てきたのが他の名称を持たないイズ)、 当然彼もゼロワンとしか呼ばれず、代名詞「はい、アルトじゃーないと!」もギャグを連呼する割に一度も言わない。 この作品もコロナの影響を受けた事で発売延期の煽りを喰らったのかは不明。*6 2021年の映画『スーパーヒーロー戦記』では『南総里見八犬伝』の世界にて登場。 『キュウレンジャー』のラプター283を助けると同時に恒例の寒いギャグを披露するも、ラプターにはネタを解説される。 何の因果か彼女もアンドロイドの秘書的キャラかつ、中の人(声の方)も『ゼロワン』出演者である。 ちなみに同じく迷い込んでいた当時現役ヒーローの仮面ライダーセイバーを除けば唯一ライダー側から『八犬伝』の八犬士として選出されている (他のメンバーは全員スーパー戦隊シリーズ出身)。 いつもの採石場で合流した際にはジオウと再会を喜んでいた。 また、『セイバー』と『機界戦隊ゼンカイジャー』のコラボ回ではゼンカイガオーンがゼロワンギアを使用してライジングインパクトを放っていたのだが、 動物モチーフのゼンカイガオーンがゼロワンギアを使用した事を不思議に思った視聴者も少なくなかった。 ゼロワンギアを使用した理由として「ゼロワンのモチーフでもあるバッタが動物に含まれるからではないか」という考察も上がっている。 他にも「ガオーン役の梶裕貴氏が主人公を演じている作品の原作者が『ライジングインパクト』という漫画を連載していたためではないか」というネタ混じりの考察も上がっている 2021年の映画『ビヨンド・ジェネレーションズ』では、精神体として未来にやってきたユーリが変身するクローンライダーの1体として登場。 この時、仮面ライダー1号と仮面ライダークウガも同時に登場している。 本当の意味で最初の平成生まれのシンさん?あの人撮影に使えるスーツがないんです… また、ゼロワンをモチーフとした仮面ライダーリバイ・バイスのフォーム「ネオバッタゲノム」も登場している。 『ガールズリミックス』ではゼロツーが登場。ただしメインキャラが女性オンリーなので… 実は映像で他作品ライダーとゼロツーが共闘するのは初めて。 騒動解決後にイズが或人を模倣したギャグを披露した際、『仮面ライダーゴースト』の深海カノンにはウケていた。 良かったな不破さん!同じ感性の持ち主がいて! 俺がMUGENキャラで、仮面ライダーゼロワン! qzak氏の制作したものをベースに複数の製作者の手が加えられたものが仮面ライダー製作Wikiにて公開されている。2020年4月5日に正規版となった。 WinMUGENとMugen1.0以降の両方に対応している。 4ボタン形式のキャラで、スプライトは手描きで製作されている。 各種フォームチェンジは必殺技及び超必殺技として搭載されおり、演出面も凝って作られている。特に超必殺技の文字演出はファン感涙ものである。 性能は通常技が強いが、フォームチェンジによる牽制もこなせるオールラウンダー。 また、オプションとしてイズ*5が随伴し、戦闘には参加しないが様々なアクションを行う。 2020年9月の更新により、ライフ15%の時のみ使用可能な即死技「リアライジングインパクト」が実装された。 AIも搭載されており、近接時のラッシュや当身技を巧みに使ってくる。 参考動画 出場大会 【MUGEN大祭】特盛りシングルトーナメント 非表示 大体、凶ランクくらいの大会で勝ちあがるにはどうすりゃいいですか? *1 ピン芸人として活動していたため、気付かなかったのかもしれないが、 イズのギャグ解説や持ちネタを取られた時の反応(「ギャグの解説をしないでー!」等)からも分かる通り、 或人はボケ向きではなくツッコミ向きである。そして顔芸 番外編でよりによって腹筋崩壊太郎から断言されてしまっている。 ちなみに彼のギャグは「名刺を見つめる名シーン!」「輝け!社長なのに新入シャイーン!」等、 ほぼ駄洒落ばかり(これは寒いギャグだとどうしても駄洒落になるからという観点によるもの)。 或人と同年代の若手芸人からネタを募集して特につまらなかった奴を採用していたとか。 *2 或人は「俺にとって人間とヒューマギアに境目なんてない」「ヒューマギアの死は人間と同じだ」と言うように人間とヒューマギアを同一視している節がある。 にも拘わらず、ヒューマギアを破壊する事を本質的には忌み嫌ってはいるものの、ヒューマギアはあくまでマシンであり、 壊れてもまたデータから復活させる事ができると完全に割り切ってもいるし、 ヒューマギアの心や自我を素晴らしいものであると認めている一方で、「転身」システムで素体の姿と人格をボタン一つで変え、 ヒューマギアは人の助けになるものであるともしながら、作られた役割を放棄してでも自分の夢を持てと説く。 一見すると矛盾するが、これは要はモノを大切にするモノを正しく扱うという考え方を更に推し進めたものだと言える。 当然、これは作中の社会や現実の視聴者からはあまり理解されない価値観でもあるが、 言ってしまえばそうした新しい価値観と存在で社会をよりよくしようとする、今までの歴史の中でも数多いた様々な分野における、 先駆者・開拓者のそれと同じであり、そういう意味において或人は社長でライダーというコンセプトに違わぬ人物でもある。 一応、第一話では「人工知能に人間のお笑いは理解できないでしょ」と発言していたが、 実際に多数のヒューマギア達と関りを持った事で徐々に考えも変わっていったようだ。 その反面、ヒューマギアに肩入れしすぎる面も目立ち、公平な価値観とは言い難い。 ただ忘れてはいけないのは、ヒューマギアの暴走は人間の悪意を学んだがためである。 ヒューマギアそのものに最初から人間を害そうなどと言う意思は存在せず(むしろ人間の道具として造られた故に人間のために働くのが当たり前と考えている)、 ヒューマギアが善か悪かになるのは、全て人間がヒューマギアというテクノロジーをどう扱うかという所にかかっている。 そして、作中には扱いを大きく間違えてしまったが故に自発的に人に歯向かうヒューマギアが出現した。 ハッキングによる暴走にせよ、自我による行動にせよ、殺人マシーンとなる危険を孕んでいるのは事実である (当初はマギア化は滅亡迅雷.netのゼツメライザーとゼツメライズキーによるものと思われたが、 なくても変身でき、ヒューマギア自体に何故か元々備わっている機能である事が判明した。 尤も、ヒューマギアはインプットされたデータによって形態を自在に変化させられるため、 キーが無くともデータを書き換えればマギア化するのは別段不思議な事ではない。 第一話から登場している戦闘員のトリロバイトマギア等や中盤以降のアークマギアはその典型例である)。 「ヒューマギアは悪くない、悪いのは心無い人間だ」という或人の一貫した主張は間違ってはいないが、 社会からの不安に対して抜本的対策を行うべき開発・販売元の社長としては無責任とも取られかねないのも否定できない。 ある意味ゼロワンを象徴する回 ではヒューマギアが危険なテクノロジーなのかと言えばそうだと言い切れるものでもなく、 正しい扱い方をしたために人間と強い信頼関係を結んだヒューマギアも多く登場しているし、 無体な扱いを受けて不満や怒りを抱いたヒューマギアが、改心した人間と接している内に優れた成長を遂げたケースも存在する。 劇場版などにおいてはヒューマギアが人間を支配し殲滅せんとする世界であるにも拘らず、 多くのヒューマギアが人間と共に在るべきだという結論に到達する等、ヒューマギアが人間のパートナー足り得る可能性と希望もまた確かに存在するのだ。 人間が正しくテクノロジーを扱えるようになる事=人間とヒューマギアが笑い合える社会にする事が或人の夢であり、 新しいテクノロジーにどう向き合うべきかという事が、社会と人に突き付けられている事を忘れてはならない。 また、「ヒューマギアの父親」によって人類を憎むよう歪んだ教育を施された仮面ライダー迅とは真っ向から主張が対立しているようでありながら、 お互いを非難する言葉が正論でありながら自分自身にもブーメランとして返るなど、どこか鏡合わせの存在のように描かれている。 祖父の是之助に対しても嫌っている様子こそ無いが、葬儀に出席せず(第一話がその当日)、重役達も孫の存在すら知らなかったりと、 肉親に対する情が感じにくい。 一応祖父の墓参りには行ったが、或人にとっての親はあくまで「ヒューマギア・飛電其雄」という事なのか、 同じ墓に名前が刻まれた「本当の両親」には一切言及していない。 放送開始直後から「実は自分を人間だと思い込んだヒューマギアなのでは」などと予想されたりしていたが、 人間には使用不可能なはずのアサルトグリップが使えたり、ゼアとアーク双方から何かを期待されているなど普通の人間ではない事だけは確かである。 ……などと、脚本家が『仮面ライダーエグゼイド』と同じだけに、どうにも不穏なものを感じさせていた。 *3 派遣したヒューマギアが人々と関わる仕事を見守るという話の構成上、或人自身が直接人助けをする場面は実は数少ない。 勿論目の前で襲われている人間を見捨てるような事はしないが、 戦うのも敵に襲われたヒューマギアを守るためである事が殆どである。 仮面ライダーの誇りである「人間の自由のために戦う」というのを本作では「人間」を「ヒューマギア」に置き換えたようになっている。 それが特に顕著に表れているのが、消防士ヒューマギアの救助訓練を見守る話で、想定以上の火災が発生していても フレイミングタイガー(耐熱性に優れ炎の中でも呼吸可能)やブレイキングマンモス(災害救助用)を使ったりせず外で待ち続け、 一方で今にも死にそうになっていた副社長達は不破諫が何故か変身せず生身で飛び込んで救出したのに、 或人は完全に鎮火してから機能停止した消防士ヒューマギアの方を助けに行った。 こうした事で「人間の自由と生命はどうでもいいのか」などと揶揄される事も (ただしこの時或人自身は現場から逃走した放火犯のマギアを追跡しており、 火災への対処と人命救助は現場にいたヒューマギアとプロの消防隊に任せた形ではあった。 また、迂闊に手を出すと敵対企業に付け込まれる状況でもあり、救助を待つ専務達ですらそれを気にしていた事も留意しなければならない)。 *4 ただし(この当時の各作品すべてにいえることだが)新型コロナウィルス感染症流行の影響で制作遅れが発生し、 本編も5週にわたって特別企画的な総集編を放送せざるを得なくなり、夏の劇場版も冬まで延期する形になったこともあり、 翌年の『仮面ライダーセイバー』においては、 本作では2号ライダーのバルカンを担当していた浅井宏輔氏に主役ライダーのスーツアクターをさらにバトンタッチすることになった。 なお、次々作『仮面ライダーリバイス』では再び縄田氏が主役ライダーのアクターに返り咲いたが、 その更に次作『仮面ライダーギーツ』ではこの年に放送されるはずだった仮面ライダーシノビも担当した中田裕士氏に変更され (縄田氏もサブライダーであるバッファのスーツアクターとして続投)、 そのまた次作『仮面ライダーガッチャード』では長らくサブライダー(一応『リバイス』でも主役の片割れ)を演じていた永徳氏が抜擢と、 まだまだ令和ライダーのアクター配役は流動的であるようだが、誰にでもチャンスのある時代となったとも言えるだろうか。 なお年末年始の恒例映画となった『MOVIE大戦』シリーズ等で主役ライダー同士が共演する必要上、 同じアクターが担当していた場合は片方を代役にせざるを得なかったわけであるが、 毎作品で主役ライダーのアクターが違うのであればそのまま据え置ける事で負担が減ったとも言える。ある種の働き方改革と言った所か。 何?高岩さんは分身できるから問題なかった?そんなバカな話があるか仕事に戻れ *5 本作のメインヒロイン。演者は鶴嶋乃愛氏。 飛電インテリジェンスが開発した秘書型AIアシスタントの女性ヒューマギアで、社長秘書として或人のサポートを担当している。 普段は秘書の業務を担当しているが、ゼロワン計画の中核を成すヒューマギアとされており、本来はゼロワンの変身者の支援を目的として創られたらしい。 ほぼ孤立無援の或人にとって、頼れるヒューマギアの中で最も近しい味方であり、 演じる鶴嶋氏のチャーミングな外見と演技も相まって『ゼロワン』の登場人物の中でも突出して高い人気を誇るヒロインである。 *6 本作におけるゼロワンの声も担当した高橋氏から番組開始から間もなくして声を収録したというインタビューもあり、 フォームチェンジが基本となるライジングホッパー以外は フライングファルコン・シャイニングアサルトホッパー・メタルクラスタホッパー・ゼロツーのみに絞られている事、 ゲームにおけるゼロワンの扱いなどから本来はゼロワンが放送中に発売される予定だった事は十分考えられる話ではある。
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沿道に連なる人垣を抜けて、少し離れた民家の壁に寄りかかる。 ここから窺う観衆はまるで一つの塊の様で、先程の少年の靴先さえ見えない。 歓声は遠く、パレード見物に熱中する市民に彼の姿は映らない。 疎外感にも似た感情が込み上げるのを感じながら、それに彼は納得を覚えた。 この勝利はトリステイン王国のものであり、余所者である彼に向けられたものではない。 身体を斜に傾けながら天を仰ぐ。見上げる先は遥か彼方、そこにある故郷を思い描くように。 「異国の地にて故郷を想うか、私も今はそんな気分だよ」 不意にかけられた言葉が、上の空だった彼を地上に引き戻す。 どこか懐かしい、アルビオン訛りの混じった響きに彼は振り返った。 竜騎士隊隊長の瞳に映ったのは、かつての宿敵ボーウッドの姿。 彼等が顔を合わせたのは、これが初めてではなかった。 しかし顔と名前を知っているだけの繋がりに過ぎなかった。 そして、両者が互いを意識し始めたのは内戦が始まってから。 アルビオンとトリステイン、幾度となく二つの空で衝突を繰り広げ、 誰よりも相手の存在を知りながらも、こうして言葉を交わすのは初めてだった。 「すまない。誇りがあるのならば自ら命を絶つべきなのだろうが、 今もこうして生き恥を晒し続けている。無様と笑ってくれて構わない」 歴史に残る不名誉な奇襲を仕掛け、トリステイン艦隊ごと多くの人命を奪った。 たとえ命令された事であろうと実行したのはボーウッド自身。 そして彼の部下である竜騎士隊を壊滅寸前に追い込んだのも彼の采配だった。 “もしかしたら自分を殺すかもしれない” そう分かっていながらボーウッドは彼を追ってきた。 彼に討たれるならばそれも本望だと心に決意を秘めていたのだ。 しかし返ってきたのは嘲笑でも罵倒でもなかった。 「生き恥は俺も同じだ。アルビオン王家に忠誠を誓っておきながら、 トリステイン王国に身を窶している。騎士を名乗るのもおこがましい」 「な……何を言うッ! それは全て―――」 「『全てアルビオンを想えばこそ』……それは貴殿も同様の筈だ」 突然の切り返しにボーウッドは思わず息を呑んだ。 自分を見つめる彼の真摯な眼差しは反論の余地さえ与えない。 しばしの沈黙の後、ボーウッドは黙って頷いた。 サー・ヘンリー・ボーウッドは生粋の軍人であった。 内戦の発端となった『ロイヤル・ソヴリン』号での反乱。 その時、彼は艦の乗員として任に当たっていた。 艦の指揮権は既に貴族派にあり、それを止める事など出来なかった。 無論、テューダー王家への忠誠を忘れたわけではない。 しかし彼は軍人であって政治家ではない。 独断で行動した結果、祖国に招くであろう混乱を恐れていた。 個人の考えだけで軍を動かす事の危険性を認識していればこそ、 命令に逆らうよりも従い、内戦を早急に終わらせる道を選んだのだ。 内紛が長期化し、疲弊し切ったアルビオンが他国に侵略されるぐらいならばと、 心を鬼にし貴族派の人間として数多くの同胞達を死に追いやった。 だが、その結末はあまりにも無残なものだった。 信じていた議会は暴走し、異議を唱える者は次々と粛清され、 そして無謀とも言える軍拡を続けた挙句、今度は外にまでその野心を広げていった。 一人になる度にボーウッドは心中で幾度も己に問い質した。 “彼等の犠牲は何だったのか”“こんな戦いに意味などあるのか”と。 「私は過ちを重ねすぎた。償うにはあまりにも大きな罪だ。 いや、何をして贖えばいいのかさえ判らないのだ」 奪った命の代償など存在しない、クロムウェルのように『虚無』の力でもない限りは。 どのような謝罪の言葉も死んでいった者達には届かないのだから。 まるで懺悔にも似た言葉を洩らすボーウッドに彼は独り言のように呟く。 「トリステインは建造中の新造艦を中心に艦隊を再編するらしい」 「……それはアルビオンへの侵攻を目的としたものかね?」 「恐らくは。ただ、先の戦いで多くの空軍士官を失った彼等には、 艦隊を運用する人材も、それを鍛える時間も無いのは確かだ。 乗員も魔法学院の学生など急遽掻き集めた新兵ばかりだ」 「そして、アルビオンも同様、艦隊と貴殿をはじめとする優秀な人材も失った。 だが旧式艦ばかりとはいえ残存艦艇数だけならトリステイン・ゲルマニア連合軍に匹敵する。 アルビオン上陸戦では数と数をぶつけ合うだけの消耗戦が繰り広げられるだろう」 「それに手を貸せと言うのか、祖国を侵攻せんとするトリステイン艦隊に! 今一度この手を同胞の血で汚し、罪で罪を洗い流せと言うのかッ!」 激昂したボーウッドが彼の襟首を掴んで引き千切らんばかりに吊り上げる。 血走らせた彼の目を真っ向から見据えて竜騎士は頷く。 彼の憤慨を理解しながら、それでも冷酷に徹して彼は続ける。 「クロムウェルは倒れ、艦隊もその大多数を失った。 もはや神聖アルビオン帝国には当初の戦意など残されていない。 次の戦いで連合軍が圧倒的な勝利を収めれば講和に応じざるを得ない。 連合軍とて未だに何万もの兵を擁する地上軍との全面的な対決は避けたいはずだ」 より多くの命を救う為ならば多少の犠牲はやむを得ない。 騎士の、噛み締めた唇から赤い雫が線となって伝う。 空の大陸を祖国とする彼等にとっては手足をもぎ取られるにも等しい苦痛だ。 既に戦争を避ける手段は残されていない。 ならば一人でも多くの命を救う事だけを考えるべきだ。 彼の胸中を余す所なく理解したボーウッドが襟首から手を離す。 よろめくように壁に背を預け、来た時の彼と同様に天を仰ぐ。 「軍人になってから覚悟していたつもりだった。 だが今頃になってようやく気付いたよ、……命とは重い物なのだな」 「ああ。俺も死の間際まで判らなかった」 遠くに聞こえる喧騒を耳にしながら二人は沈黙を保った。 その静寂を打ち破ったのはどちらでもなく、こちらに近付く複数の靴音だった。 見れば、傭兵と思しき数人の男達が彼等の周りを取り囲んでいた。 穏やかではない空気の中、一回り長身の傭兵が口を開く。 「サー・ヘンリー・ボーウッド卿と、アルビオンの竜騎士隊長殿に相違ないな?」 確信を持って放たれた言葉に二人は頷いて肯定を示す。 誤魔化せるような状況ではないと判断したのだ。 彼等の返答に笑みを浮かべると、その男は背を向けて歩き始めた。 「少し付き合ってもらいたい。なに時間は取らせませんので」 それに従い、ボーウッド達は後ろから男に付いて歩く。 男の言葉は要請ではなく強制だと彼等は察していた。 振り返れば、退路を塞ぐように数人の男が彼等の背後についていた。 ボーウッドは彼等の目的を大体予想できていた。 恐らく人目に付かないところまで連れて行き、集団でリンチを加えるのだろう。 捕虜になったとはいえ、彼等の恨みが消えたわけではない。 むしろ、手を下す事さえ出来ずに歯痒い思いをしていたに違いない。 そこに監視も付けずに無防備に歩いていれば、こういう結果になるだろう。 視線を隣に移せば、竜騎士は自分の杖に手をかけていた。 それに手を当てて静かにボーウッドは首を振る。 無駄な血を流す必要はない、これ私の責任だ。 罪を犯した者は相応の罰を受けねばならない。 捕虜となった以上、命の危険はない。 ならば彼等の気の済むまで殴られてやろうと覚悟を決める。 「着きましたぜ」 案内されるがままに辿り着いたの一軒の酒場だった。 二階建ての上の階を宿とする典型的な造りで、 上品さの欠片もない、いかにも傭兵が好みそうな店だった。 店内に足を踏み入れる男にボーウッド達も続く。 そして、目にした光景に思わず彼等は息を呑んだ。 そこは正に兵士達の溜まり場だった。 決して狭くはないホール内に、まるで敷き詰められるように屈強な男達が屯する。 傭兵ばかりではない、休暇を与えられたであろう正規兵の姿も見受けられる。 その中にはトリステイン艦隊の生き残りもいるだろうとボーウッドは視線を落とした。 「連れてきましたぜ、ニコラの旦那」 「ありがとよ。おまえも席に着いてな」 男と入れ替わるように日焼けした浅黒い肌の傭兵が立ち上がる。 体格でいえば先程の男とは比較にならないが、保つ空気が貫禄を感じさせる。 呆然と立つ二人に近付き、杯を手渡してワインをなみなみと注ぐ。 それが終わると今度はホールに振り返り全員の手に杯があるかを確かめた。 やがて満足げな笑みを浮かべると彼は杯を天に掲げた。 「戦友に!」 そして唐突に叫び、一息にその中身を飲み干した。 「戦友に!」「戦友に!」「戦友に!」 彼に続くように次々と兵士たちも歓声を上げてワインを呷る。 突然の乾杯に驚く二人を余所に、彼等は杯を空けていく。 直後、ボーウッドの杯を持つ手が震えた。 自分がここに呼ばれた理由、言葉の意味に気付いたのだ。 あの杯はアルビオンもトリステインもなく捧げられた。 戦いで死んでいった両国の兵士、戦友であった者たちの鎮魂の為に。 さらには、戦いを終えて生き延びた者全てを戦友と呼び合い、 今この瞬間に酒を酌み交わせる事を至上の喜びとして祝杯を挙げた。 ホール中の人間の注目が集まる中、ボーウッドも杯を掲げる。 「戦友に」 言い終えると共に彼は喉の奥にワインを流し込む。 その飲みっぷりの良さに、酒場から割れんばかりの拍手が響いた。 (……見ておられますか、陛下) 竜騎士隊長は込み上げる涙を堪える事が出来なかった。 頬を伝う涙が杯の中に零れ落ちて波紋を呼ぶ。 貴族派も王党派も他国の兵士さえも肩を並べて笑い合う。 その姿が昔日のニューカッスル城の大ホールと重なる。 軍服を纏ったウェールズが告げた言葉を昨日の事のように思い出す。 “パーティーを延期して貰いたい! しばしの間、我等がこの手に勝利を収めるまで!” (陛下。時間はかかりましたが、ようやくパーティを再開できました) 豪華な食事も高価なワインもなく寂れた酒場の片隅で、 彼もボーウッドに倣うように杯を持ち上げた。 ウェールズ陛下に『イーグル』号副長、竜騎士隊の隊員と五百人の仲間、 そしてトリステインから来た使者の少女たちと使い魔を思い浮かべて彼は高らかに告げた。 「我等が誉、偉大な戦友たちに乾杯!」 それとほぼ同時刻。パレードに沸き返る城下町からやや離れた豪奢な屋敷、 そのサロンでもささやかな祝宴が挙げられていた。 もっとも小規模なだけであって振る舞われる料理やワインは最高級品、 そして出席する貴族達も誰もが一度は耳にしたことがある有力貴族ばかりであった。 彼等は口々にアンリエッタへの不満を募らせる。 「全く、姫殿下には困ったものですな。我々が穏便に解決しようとしているのに臆病者だなどと……」 「その通り。勝ったからいいものの、あれで敗れていればどうなっていたか」 中には会議でアンリエッタに罵倒された者たちもおり、さらに怒りを滲ませる。 そんな彼等を宥めながら屋敷の主は微笑さえ浮かべて彼等に告げる。 「だが我々は勝利しました。アルビオンはもはや脅威ではない。 彼等から奪い取った領土は我々に新たな富を齎してくれるでしょう。 それに戦争に備えるという名目で増税する事により平民どもからも搾取できる」 まるで舞台の上で演ずるような身振りで、大仰に語る男の言葉に貴族たちは歓声を上げる。 しかし、その中の一人が若干不安の混じった声で本音を吐露する。 「消耗としているとはいえ、敵はあの軍事大国アルビオンだぞ。 果たして、あの怪物抜きで確実に勝てるという保証はあるのか……?」 その言葉に動揺したのか、互いの顔を見つめ合ってざわめき始める。 観衆の反応の良さに酔い痴れていたにも関わらず、 思わぬ邪魔が入った男は不満を露にしながら語気を強めた。 「何を言われるか! 連合軍の総戦力はアルビオン軍など遥かに凌駕している! あのような不愉快な畜生の手を借りずとも竜が蟻を踏む潰すかが如しだ!」 「そうですぞ! 大体、奴はもうハルケギニアには存在しない!」 屋敷の主に同意するように喧々囂々と弱気になった男を詰る声が響く。 それに気を良くした主が再び襟を正して訂正を加える。 「いや、ここは“存在さえしていなかった”と言うべきでしょうな」 ミス・ヴァリエールの使い魔。犬の姿を装った怪物は記録の上でも、その存在を抹消された。 各国の非難を避ける目的で、彼等は全ての証拠を根こそぎ隠滅した。 だが、それは自分たちの保身を図る為だけではない。 敵であろうと貴族は始祖に連なる血筋の、選ばれた存在だと彼等は確信していた。 貴族とは絶対的な存在として君臨しなければならないとする彼等が、 まるで紙屑を千切るかのようにメイジを蹴散らすバオーの存在を容認できるはずもない。 魔法も使わず、それ以上の力を行使する怪物は、彼等にとってアルビオン以上の敵だった。 そしてアルビオンではニューカッスル城を包囲する大軍を撃退し、 タルブでは艦隊に大打撃を与えた上に、あのトリステイン最強のワルド子爵を倒すという、 決して無視できない戦果を上げ、さらにその脅威を強めた。 「あのままならば使い魔に爵位を与えねばならぬ所でしたな」 「そうなったら我等は犬と同列か。平民どもの物笑いの種だな」 冗談めかして誰かが言った言葉に爵位を持つ貴族が心底嫌そうな表情を浮かべる。 この中の誰一人として命を捨てて戦った彼に恩義を感じる者はいない。 大袈裟な振る舞いで屋敷の主は声を張り上げる。 「アルビオンも! 怪物も! 我等を脅かす者は全て去った! さあ祝杯を挙げようではないか! 我々の輝かしい未来に!」 トリステインの国境よりおよそ千リーグ離れた内陸部に位置するガリアの王都リュティス。 その東の端に存在する壮麗な宮殿、ヴェルサルテイルの中心『グラン・トロワ』の玉座。 そこに鎮座するガリア王ジョゼフは退屈そうに杯を満たすワインを左右に揺らしていた。 やがて、それにも飽きたのか、傍らに置いてあった人形を手に取り語りかける。 「ミューズ、余のミューズよ。この退屈を紛らわせる楽しい話を聞かせてくれ」 その奇行に小姓たちは怪訝な表情すら浮かべず、ただ無表情を貫き通す。 もはや日常と化した異常な言動に一々反応する者など、この宮殿にはいない。 「報告いたします、我が偉大なる主ジョゼフ様」 その声を発したのは手にした人形ではない。 ましてや宮殿に人の声はなく、ただジョゼフの頭の中に響くのみ。 それは遠くトリステインの地にいる彼の使い魔シェフィールドとのルーンを介した会話。 他の誰にも聞こえない従者の言葉にジョゼフは耳を傾ける。 「トリステインは新造艦を中心に戦力を増強し、アルビオンに攻め込む姿勢を見せております」 彼女の言葉を耳にしてもジョゼフは表情を変えなかった。 そうなるように仕向けたとはいえ、あまりにも予定通りで面白みに欠けたのだ。 かといって自分の思惑通りにいかないのも腹立たしい。 この子供のような性格をジョゼフは自覚した上で“難儀なものだ”と自嘲する。 「全ては我が主の思惑通りに。全ては我が主の手の中に。 まさか、この戦いが全て『虚無の少女』を覚醒させる為の茶番だったとは、 アルビオンもトリステインも思いもしないでしょう」 それは恐怖か、それとも歓喜だったのか、 シェフィールドは身体を震わせながら己が主を讃えた。 『虚無』を目覚めさせるのに必要なのは、爆発的なまでの激しい感情。 ワルドもバオーもそれを引き出す為の生贄にすぎなかった。 少女と親しい関係にあったワルドを裏切らせ、様々な手段で彼女の心を傷つけたのもその為。 さらにはアルビオン艦隊という脅威を突き付け、『虚無』の力に頼らざるを得ない状況を作り出した。 この世界に運命を繰る神が居たとしても、我が主の足元にも及びはしないだろう。 「ミューズ、それは少し違うな」 感慨に耽っていた彼女をジョゼフの失望混じりの声が引き戻す。 冷たく言い放たれた言葉に、シェフィールドは死より恐ろしい恐怖に駆られた。 彼女にとって死を命じられるよりも恐ろしいのは、ジョゼフに見捨てられる事だ。 何が気に障ったのかを思案しながら彼女は主に謝罪しようとした。 しかし、それを遮るようにジョゼフは平然と呟く。 「余の目的は戦争を引き起こさせる事だ。『虚無』など連中をその気にさせる餌に過ぎん。 いや、戦争さえも手段だ。余はなハルケギニア全土が悲哀と憎悪で満たされるのを見たいのだ。 その最も効率的な方法が戦争であって、それ以上の物があるというならそちらを選ぶ」 狂気に満ちた主の返答に、シェフィールドの身体が再び打ち震えた。 彼女は確信した、この感情は畏怖だと。 王などという器で収まるような人物ではない。 己の意思一つで世界さえも揺るがせる、そんな彼に仕える歓喜が彼女を満たす。 彼女にとってジョゼフは神にも等しき存在であった。 「ミューズ、もう一度聞かせてくれ。タルブに血は流れたのか?」 「はい。斜陽で大地が赤く染まるように」 そうか、と嬉しげに答える主の声にシェフィールドは狂喜しそうになった。 彼を喜ばせられるのならハルケギニア全ての人間が犠牲になろうと構わない。 見下ろした先には、観衆に盛大な歓声で迎えられるパレード。 彼女らは知らない。自分達が誰かに操られているなどとは露にも思っていない。 (さあ踊りなさい人形達。互いに殺しあって我が主を楽しませるのです) まるで人形を繰るかのようにシェフィールドは指を動かす。 この世界は舞台だ。彼女の主人であるジョゼフを喜ばせる為だけの舞台。 最高の悲劇を演出する為だけに全ての人間は存在し、与えられた役をこなす。 幕が下りた瞬間、舞台に役者が残っているかどうかなど彼女にはどうでもいい事だった。 その後、報告を続けるシェフィールドにジョゼフはふと訊ねた。 「盗まれた『アンドバリの指輪』だが、その行方はどうなった?」 「はい。“土くれのフーケ”を名乗る盗賊が保有しております」 「ふむ。クロムウェルに代わる“道化”だが、一つ面白い趣向を思いついた。 急ぐ話ではないが、機があるようならば取り戻せ」 悪戯を思いついた子供のように、ジョゼフは楽しげに笑みを浮かべる。 気を良くした彼の間隙を縫ってシェフィールドは疑問を口にした。 「それと例の使い魔の件ですが、あれでよろしかったのでしょうか? 必要とあれば残された証拠を使いトリステインを糾弾する事も可能ですが」 「ミューズ、余計な手出しは無用だ。あれはただの嫌がらせなのだからな」 珍しく自分の意見する従者にジョゼフは愉快そうに言い放った。 彼にはトリステインを混乱させる意図など毛頭なかった。 主の真意を掴めずにきょとんとしてシェフィールドは聞き返す。 「嫌がらせ、ですか?」 「そうだ。自らの手で使い魔の存在を抹消させる。 ただ、それを連中にやらせたかっただけだ」 シェフィールドの言うように全ては彼の思惑通りだった。 しかし、この戦いでの被害は想像していたものには程遠かった。 薄汚い傭兵どもの一方的な虐殺を目にした使い魔は人間に絶望したはずだった。 ニューカッスルを再現するように、タルブでも力の限りに殺戮を繰り広げてくれると期待していた だが何を思ったのかは分からないが、奴は力を抑えて被害を最小に抑えたのだ。 そして、虚無の少女もまた同様に“虚無”を発動させながらも人を殺さなかった。 婚約者に裏切られ、騙され、傷付けられ、使い魔さえも殺されれば殺意に目覚めると考えていた。 もし“虚無”が艦内の人間を対象に発動していればタルブは地獄と化していただろう。 生き残ったアルビオンの兵士は恐慌状態と化してトリステイン軍に雪崩のように押し寄せ、 もはや互いに全滅させるより他に収拾のつかない事態に突入していた。 しかし、そのジョゼフの野望は脆くも虚無の主従によって打ち砕かれた。 彼女たちは黒幕の存在も知らないままジョゼフに一矢報いていた。 だが、それが彼の不興を買ってしまった。 “バオー”の情報を流布したのはルイズを追い込む為だった。 愛情を注いだ使い魔の存在さえも消し去らねばならない苦悩、それを彼女に与えたかった。 他に理由など無い。ただそれだけの、気まぐれによる思い付きだ。 「愛情か。俺には到底理解できんな」 一人呟くジョゼフに答える者は誰もいなかった。 シェフィールドとの会話が終わり、人形を戻したジョゼフが再び杯を手にする。 しかし、注がれた赤い雫を一滴も口にすることなく杯を倒す。 「タルブに血に染まった」 大理石の床に零れたワインがまるで鮮血のように広がっていく。 それを気に留めることなくジョゼフは小姓に杯を突き出す。 器に満たされるワイン。だが、それも飲まれぬまま床に捨てられた。 「だがまだ足りん。もっと、もっとだ」 小姓の手から瓶を奪い取り、その中身を全て床にぶち撒ける。 一面赤に染まったのを見届けて、ようやくジョゼフは満足げに笑みを浮かべる。 「この世界全てが悲しみで埋め尽くされれば、俺の心も悲しみで満たされるのだろうか」 ジョゼフの脳裏に浮かぶのは唯一人、彼に感情というものを芽生えさせた血を分けた兄弟の姿。 「そうすれば俺はまた泣けるのだろうか。シャルル、おまえを手にかけた時のように」 戻る 目次 進む
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VS.ゼロ 収録作品:星のカービィ3[SFC] 作曲者:石川淳 概要 本作の真のラストボスであり、ダークマター族の親玉である「ゼロ」との対決で流れるBGM。 曲名は明らかにされていないが、前哨戦となるダークマター戦の曲名が「VS.ダークマター」となっていることから、仮曲名はこれに準じて記載する。 この作品は、お絵かき調のグラフィックに合わせて主に穏やかなメロディで構成されているのだが、この曲は不気味さを含みながらも終始疾走感のある曲という正反対の曲になっている。 次々と畳みかけてくるようなリズムが疾走感だけではなく緊迫感も与えており、赤い目玉の白い球体という不気味な容姿と巨体に見合った非常に高い耐久力を持つ「ゼロ」との対決によく合った曲である。 なお莫大なHPをやっとの思いで削りきると、体を裂いて赤い目玉が飛び出る衝撃的な展開となり、目玉との連戦となる。 この目玉を倒すことでようやくエンディングとなるのだが、ここまで強烈な演出はシリーズ前代未聞であり、その後のシリーズの黒い要素を決定づけたとさえ言われるほどのシロモノである。 またクリア後の「ぼすぶっち」での対決時は、黄色の背景に青と赤の雲という視覚的に非常に悪い色に置き換わっているオマケ付きである(流石に目に悪すぎてVC等では修正された)。 これらの要素からトラウマ面でも定評のある曲であり、非常に印象に残りやすい曲である。 余談ではあるが、この「ぼすぶっち」での目に悪い背景が、約20年後の作品で再び披露されることになる。 しかも披露された場面があまりに意味深な場面であったことから、未だに様々な憶測を呼んでいる。 長らくアレンジが行われてこなかったが、『星のカービィ スターアライズ』での最終アップデートで追加されたイラストギャラリーの曲「バッドボスブラザーズ」が初のアレンジ曲となる。 音色の違い以上にかなりのスローペースとなっていることから分かりづらいが、倍の速度にするとかなり原曲に近くなる面白いアレンジである。 また、「The Sound of Kirby Café 2」では酒井省吾氏によって「モノクロームブレンド」という曲名でジャズアレンジメドレーが作曲されている。 『星のカービィ 参上! ドロッチェ団』の「ダークゼロ戦」とのラスボスメドレーであり、曲名の由来は言うまでもないだろう。 過去ランキング順位 星のカービィ3「VS.ゼロ」 第5回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 721位 第6回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 831位 第7回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 529位 第8回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 711位 みんなで決める任天堂ゲーム音楽ベスト100 44位 みんなで決めるラストバトルBGMベスト100 152位 第2回みんなで決めるラストバトルBGMベスト100 84位 みんなで決めるスーパーファミコンBGMベスト100 87位 みんなで決める星のカービィBGMベスト100 46位 第2回みんなで決める星のカービィBGMランキング 125位 星のカービィ スターアライズ「バッドボスブラザーズ」 第2回みんなで決める星のカービィBGMランキング 212位 The Sound of Kirby Café 2「モノクロームブレンド」 第2回みんなで決める星のカービィBGMランキング 203位 サウンドトラック KIRBY STAR ALLIES THE ORIGINAl SOUNDTRACK(初回限定生産盤) KIRBY STAR ALLIES THE ORIGINAl SOUNDTRACK(通常盤) 「バッドボスブラザーズ」が収録されている。 The Sound of Kirby Café 2 「モノクロームブレンド」が収録されている。
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【名前】 ゼロシュナイダー 【階級】 順調に昇格中 【得意なカテゴリ】 最近はPMばっかりですw 【所在地】 愛媛県(生まれは香川県w) 【年齢】 こないだ26歳になりもうしたw 【好きな食べ物】 讃岐人はうどんでしょ!w 【趣味】 PC、ゲーム、アニメ、マンガw 【適当に自己紹介】 MSはコスト度外視の試作機よりもやられ役感いっぱいの 量産機の方が好きなゼロシュナイダーですw 仕事の関係でインする時間は遅いけどイン率はとっても高いおw AIは超がつくほど苦手だわw
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ラ・ヴァリエール公爵は落ち着かない様子でカップに注がれた紅茶を啜った。 魔法学院に入学して以来、顔を合わせていない娘が帰ってくるのだ。 悪い虫が付いていやしないか、悪い級友にいじめられていないかと不安だった彼が、 その帰りを今か今かと待ちわびるのは至極自然な事だった。 しかし、彼の心境はとても複雑であった。 彼に突き刺さるような視線を向ける二人の女性。 愛する家内と長女、実質的なラ・ヴァリエール家の支配者コンビだ。 「分かっていますね。けっして甘い顔はしないように」 「そうよ。あれだけ忠告したのに戦場に行くなんて! 今回は運が良かっただけ。調子に乗ったら次は間違いなく死ぬわ」 「わ……分かっているとも。ルイズには厳しく私から言っておこう」 その言葉が信用に足らないとばかりに、さらにジロリと鋭い眼が向けられる。 身体を縮こませるようにして公爵は再びカップに口を付ける。 トリステイン有数の実力者も家庭ではほとんど立場がなかった。 厳格な性格で知られるラ・ヴァリエール公爵だが、所詮は可愛い娘には勝てない男親である。 ましてや末娘でメイジとしての出来も悪いとなれば放っておけなかった。 彼女達もルイズが嫌いなわけではなく、その身を心配しているからこそ怒っているのだ。 ここは心を鬼にして彼女を厳しく罰するのが正しいのだろうが、ルイズに嫌われると思うとどうにも腰が引けてしまう。 かといって“出来ません”などと答えようものならどうなるか。 最小限に手加減されたとしても半年は施療院から出られなくなるだろう。 そしてルイズは徹底的な制裁を加えられて一生もののトラウマが刻まれるかもしれない。 やはり、名目上とはいえ家長である私がやらなければならない事だ。 そう言い聞かせて己を奮い立たせる彼に、老執事が声をかけた。 「旦那様。ルイズお嬢様がたった今お戻りになられました」 「う、うむ。では早速出迎えに……」 「必要ありません。エレオノール、あの子をここへ」 「ええ。頬を引っ張ってでも連れてきます」 席を立とうとする夫をカリーヌが制す。 命令ではないただの一言。 だが、それは絶対遵守の力を以って公爵を椅子に釘付けにした。 鼻息荒くエレオノールが出て行ったことで、必然二人きりの状況が作られる。 張り詰めた空気を察した老執事は“さて、歓迎の支度を”と、 あからさまな言い訳をしながら、そそくさとその場を立ち去った。 二人の間に重苦しい沈黙が流れる。 幻覚だと分かっていても身体が重く感じる。 遂に耐え切れなくなったラ・ヴァリエール公爵が口を開いた。 「それにしても戦場に単騎で出向くとは……まるで誰かの若い頃のようだな」 「……何を仰りたいのですか?」 「その、なんだ、おまえも人の事は言えない訳だし、今回だけは特別に……」 刹那。妻の猛禽じみた眼差しに全身が凍りつく。 幾多の戦場を駆け抜けた彼女の迫力は凄まじく、 曰く、一睨みで大軍が武器を捨てて逃げ出した、とか。 曰く、睨まれただけで火竜がお腹を見せて服従を示した、とか。 曰く、イタズラ好きの子供に『烈風カリンが来るぞ』と告げると大人しくなる、とか。 そんな伝説級の怪物に立ち向かう彼の心境は如何ばかりのものだったろうか。 気分はイーヴァルディの勇者どころか捧げられる生贄の少女であった。 「私は別に戦場に出た事を怒っているのではありません。 家長の指示に背いた、それに対し罰を与えるべきだと言っているのです。 規則は規則。それを特別だと許せば次も同じ過ちを繰り返すでしょう」 静かに響くカリーヌの言葉は規律を重んじる騎士のそれであった。 強すぎる力を持つが故に、それを抑制する規則が必要だと彼女は自覚していた。 力に溺れぬよう驕らぬようにカリーヌは己が信念を貫いてきた。 その教えがあればこそ三姉妹の誰もラ・ヴァリエールの権力を傘に、 他の貴族達に傲慢な振る舞いをしなかったのだろう。 「それともう一つ、私はまだ若い。今すぐ訂正してください」 返答に困った公爵が苦笑いを浮かべる。 いいかげんなおべっかは逆に彼女を苛立たせ、 “一番上の娘が嫁き遅れといわれる歳で若いもないだろう”と、 正直に答えればそれが自分の辞世の句となるだろう。 言葉に詰まる彼の目の前で大きな音を立てて扉が開け放たれた。 「ちびルイズを連れてきましたわ」 「御苦労」 始祖の助けをその身に感じながら公爵は安堵の溜息を洩らす。 おほん、と咳払いして気を取り直し威厳ある態度で臨む。 だが、彼が目にしたのは見る影もない自分の娘の姿だった。 気落ちなどという生易しいものではない。 悲嘆に暮れた表情は幼い頃の面影を隠し、 その瞳からは輝きが失われ、絶望だけを色濃く映す。 公爵は何を言い出せなかった。 今の彼女はまるでヒビ割れた硝子細工のようで、 少しでも触れてしまえば壊れてしまうように思えたのだ。 一方、エレオノールは情けない妹の姿に苛立ちを覚えていた。 いつもの無駄に元気な彼女なら口答えの1つでもしてくる。 それなら頬を引っ張って訂正させるのが楽しみでもあったのに。 今のちびルイズは見ているだけで辛くなってくる。 まるで生きている意味さえも失ってしまったかのような絶望。 それに身を浸す妹に発破をかけるつもりで言い放つ。 「たかが使い魔一匹死んだぐらいで、いつまで落ち込んでるつもりよ! 代わりに、また新しいのを召喚すればいいだけじゃない」 学院に赴く以前と同じ様に頬を抓り上げて怒鳴る。 そしてルイズは痛みに耐えながら“ごめんなさい、エレオノールお姉さま”と答える。 それはごく当たり前に繰り返された日常的なやりとり。 なのに、彼女の反応はそれまでのものと大きく違っていた。 伸ばしたエレオノールの手を振り払い、怒りを滲ませながら彼女を睨む。 「代わりなんて……、代わりなんている訳ないじゃない!」 思わぬ反撃と気迫にたじろぐ姉に、胸の内を吐き出すようにルイズは叫んだ。 そのまま部屋を飛び出す妹をエレオノールは呆然と見送る。 初めての反抗に彼女は狼狽し、我に返った時には既に彼女を見失っていた。 「しまった! 逃げられたわ!」 「追う必要はありません」 駆け出そうとしたエレオノールをカリーヌが呼び止める。 何故、と困惑の眼差しを向ける娘に答えず、彼女は続けた。 「もし見つけても『顔を出す必要はない』と伝えなさい。 そのような情けない顔を晒す者にラ・ヴァリエールを名乗る資格はありません」 ぞくりとエレオノールの背筋が震えた。 お母様は本気で言っていると彼女は直感したのだ。 鉄の規律という言葉が頭を過ぎる。 硬く、決して曲がらず、そして人の温もりには程遠い冷たさ。 正しく彼女の判断はその通りの物だった。 イエスともノーとも答えず、そそくさとエレオノールは立ち去った。 こうなれば一刻も早くルイズを見つけ出して一緒に謝るしかない。 そう考えて彼女は屋敷の探索に乗り出した。 「………………」 去ってゆく娘を視界にも収めず、カリーヌは紅茶を口に運ぶ。 自分の娘の考えなど見え透いていたが、それを咎める事はない。 どの道、エレオノールにはルイズは見つけられない。 あてもなく、ただ闇雲に屋敷内を探し回るのがオチだ。 もし彼女を見つけられるとしたら、それは……。 「カリーヌ。その、いくら罰にしても厳しすぎるぞ」 思案に耽っていた彼女をラ・ヴァリエール公爵の声が引き戻す。 額から冷や汗を流しつつ気圧されながらも彼は反論する。 彼とて妻に恐怖するだけの男ではない。 もしその程度の男なら、とっくにカリーヌに見放されていただろう。 「罰ならばルイズは既に受けています」 「え?」 「それも最も重く、一生背負っていかなければならないものを」 ルイズと目を見合わせた瞬間、カリーヌは直感した。 彼女と同じ想いをした自分だからこそ理解できた。 “自分の判断で大切な何かを失ってしまった”と。 失った物は決して戻る事はない。 これから先、彼女は何度も後悔と共に思い返す。 どうしてもっと上手く出来なかったのか、 何故もう少し冷静に考えられなかったのか、 他に方法はなかったのだろうかと悔やみ続ける。 それは逃れる事の出来ない罪として永遠に彼女を苛む。 ルイズは初めて自覚したのだ。 自分の判断が誰かの命を奪うことになる、その重みを。 恵まれていた彼女には失うことを知らなかった。 だから命も名誉も頭では分かっていても本当の意味では理解していなかった。 大切な物を失なってようやく彼女はその恐怖を知った。 これで彼女はスタートラインに立ったのだ。 何の責任を伴わない判断など存在しない。 これから先、彼女は何度も重要な決断を下さなければならない。 覚悟なき決定に意味などない。悩み傷付いた末に選んだ結果だからこそ意味がある。 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは強くならねばならない。 何度膝を屈そうとも立ち上がり、前へと突き進めるぐらいに。 「私たちに出来る手助けはありません。 あの子が初めて自分の足で立ち上がった時のように見守るしか」 手を貸してやれない事を恨めしく思いながらカップを置く。 寂しげに呟く妻に、夫は力強く答えた。 「心配はいらない。ルイズは強い子だ、私たちの子を信じよう」 何の根拠もなく言い放った夫にカリーヌは笑みを浮かべる。 普段の彼女からは想像もつかない優しげな微笑み。 鉄仮面で素顔を隠し鉄の規律に身を縛ろうとも、 『烈風カリン』が一人の女性である事に変わりはない。 戦況さえ変える力を持った彼女とて思い悩み、悲しい決断を迫られた事もあった。 そんな時、彼の言葉に何度励まされただろうか。 彼女は単騎であろうとも一人ではなかった。 倒れぬのは、その身体を支える誰かがいたから。 突き進めたのは、その背を押す誰かの手があったから。 感謝を言葉に乗せずに笑みで応えた彼女に。 「ひぃ…! す、すみません! 何の根拠もない事を言って…!」 これ以上ないほどラ・ヴァリエール公爵は怯えていた。 満面の笑みを向けたにもかかわらず、命乞いをするかのように震える亭主。 その瞬間。彼女の中でスイッチが切り替わった。 彼女の精神テンションは今! マンティコア隊隊長時代に戻っているッ! 火竜山脈の主が戦慄し、大地を踏み鳴らす軍勢が恐怖した当時にだッ! 冷酷!残忍!その彼女の杖がラ・ヴァリエール公爵に向けられた。 ルイズは一人、屋敷の中庭で佇んでいた。 そこは幼い頃より彼女が隠れた秘密の場所。 遠くで響く轟音もここまでは届かない。 辛い事があった時はいつもここに逃げ出してきた。 それは今も変わらないのか。夢中で走り続けて、気が付けば自分はここにいた。 咲き誇る花々に彩られた無人の庭園。 そこに面する池に反射した陽の光が眩いばかりに輝く。 ささくれた心でさえ美しく、また懐かしく思える光景。 ……もし出来るなら“彼”にも見せたかった。 同じ世界を見て、同じ気持ちを共有したかった。 俯く彼女の背後で茂みを掻き分ける音が響く。 (まさか、もう見つかったの…?) 徐々に近付いてくる物音に彼女は連れ戻される事を覚悟した。 いや、どちらかといえば諦観だったのだろう。 もうどうなろうと構わない、そんな自暴自棄に似た感情が沸き上がる。 しかし立ち尽くすルイズの視線の先に現れたのは、柔和な笑みを浮かべた女性だった。 「おかえりなさい、ルイズ」 「……ちい姉さま」 込み上げる感情に堪えきれずルイズは姉の胸に飛び込む。 それをカトレアは身体全体で包み込むように受け止めた。 安らぎに満ちた温もりに、張り詰めた感情が解れていくのを感じる。 エレオノールやカリーヌにさえ心を開かなかった彼女だがカトレアは別だ。 いつも庇い、慰めてくれた優しい姉はルイズにとって母親よりも母親らしく思えた。 ルイズの髪を梳くように繊細な指先が頭を撫でる。 子供扱いでもイヤな気分にはならない。 孤独から解放された安堵からか、ルイズの瞳から涙が一滴零れ落ちた。 「……本当はアイツと一緒に、ちい姉さまに会いに行きたかった。 でも、もう居ないの……もう何処にも居ない」 「忘れなきゃいけないのに、いつまでも引きずっていちゃいけないのに。 アイツもそれを望んでるって分かっているのに……出来ないの」 誰にも言えなかった本音を吐露しながらルイズは泣いた。 大粒の涙と共に、閉じこもっていた殻が次第に崩れていく。 “誰かに伝えたかった”孤独の中にあっても彼女はずっと思い続けていた。 使い魔と過ごした日々は記憶に深く刻まれ、それ故に彼女を苦しめる。 悲嘆に暮れる彼女を優しく、しかし力強く抱き締めてカトレアは言った。 「それでいいのよ、ルイズ。大切な想い出なら忘れてはいけない」 「え?」 姉の返事を理解できず、ルイズはきょとんと目を丸くした。 だって彼女を立ち直らせようとした友達も家族も、 そして彼の存在を隠匿した貴族達も、誰もが“忘れろ”と言った。 しかし、最も信頼している姉は“忘れるな”と告げた。 その真意を測りかねて戸惑う妹にカトレアは問いかける。 「初めて会った時の事を憶えてる?」 「……はい」 「一緒に遊んだ時の事も?」 「………はい」 問いに答える度にアイツとの思い出が蘇る。 広場を逃げ回るアイツを追いかけた最初の出会い。 投げた棒を咥えて楽しげに尻尾を振りながら戻って来るアイツの姿。 どれもが昨日の事のように鮮明に思い出せる。 ぎゅっとカトレアの服を掴む手に、思わず力が篭る。 「それは全部、ルイズにとって辛い思い出なの?」 「……いえ、違います」 「辛かったり悲しかったり、だけどそれだけじゃない。 楽しかった事も嬉しかった事も全て大切な思い出よ。 決して無くならない、ルイズの心の一部なの」 「私の……心に」 カトレアの言葉に従うように、そっと自分の胸に手を当てる。 どくんどくん、と脈打つ鼓動とは別に確かな温もりがそこにはあった。 ルーンの繋がりは絶たれたけれど、それでも“彼”を感じ取れる。 使い魔と過ごした日々は、思い出と共にそこに存在していた。 いつかは声を思い出せなくなるかもしれない、 姿さえも忘れてしまうかもしれない、だけど一緒にいた事は忘れない。 私の心にある限り、私は決して貴方を忘れない。 「一人で立ち上がるのは難しいかもしれない。だけど貴女は違う。 ルイズの大切な友達も、私も、姉様も、皆が貴女を見守ってくれているわ」 涙は止まらなかった。悲しいだけじゃなくて嬉しかった。 公爵家に生まれながら魔法が使えない、そんな自身の出生を不幸と思った。 だけど、今は心から感謝している。 ラ・ヴァリエールに生まれたからカトレア姉さまに会えた。 エレオノール姉さまやお父様、お母様、大切な家族と出会えた。 キュルケやタバサ、ギーシュにコルベール先生、多くの友人と巡りあえた。 ――――そして、アイツとも。 多くの出会いと別れを重ねてようやく彼女は気付いた。 自分が如何に家族や友、仲間に恵まれていたのかを。 そして、その絆こそ今の自分を支える力だという事に。 まるでこの世に生まれ落ちた時のようにルイズは泣き続けた。 それを愛おしく抱き寄せながらカトレアは確信した。 “ルイズはきっと立ち直る。今よりもっと強くなる”と。 そこには彼女の切なる願いも込められていた。 今度、挫折した時は慰めてあげられないかもしれない。 それどころか、あるいは……。 咳き込んだ口をカトレアは手で押さえた。 赤錆にも似た味が口の中いっぱいに広がる。 見れば、こびり付いた赤色が白磁のような手を汚していた。 妹の綺麗な桃色の髪を汚さぬように手を遠くへ離す。 もう長くはないと自分でも判っていた。 いや、“自分だからこそ”かもしれない。 そのせいでルイズをまた泣かせてしまうかもしれない。 “ごめんなさい”と心の中で詫びながら、もう一方の手で彼女を撫でる。 「私の可愛いルイズ。今は泣いていいの」 いつまでこうしていられるかは分からないけれど、今だけは胸を貸してあげられる。 強くなってねルイズ。私がいなくなっても大丈夫なぐらいに。 ―――そして、貴女の心にいつまでも私を居させて。 (全く……。損な役回りね) 植え込みの陰に隠れながら様子を窺っていたエレオノールが愚痴る。 カトレアの部屋に逃げ込んだと思い探してみれば、ルイズどころかカトレアも不在。 慌ててカトレアの足取りを使用人達に問い質しながら、ようやくここを探り当てたのだ。 エレオノールとてカトレアに負けず劣らずルイズの事を心配していた。 だが彼女はどうしようもないほど不器用で、上手く愛情を表現できなかった。 そういう所が血筋なのだろうかと、つい思い悩んでしまう。 カトレアにしがみつき泣きじゃくるルイズを見て、 子供の頃と全く変わってない事に安堵と呆れが同時に込み上げる。 「しばらくぶりだものね、もう少しぐらい見逃してあげるわ」 溜息を零しながら、カトレアに似た温かな眼差しがルイズに向けられる。 直後。彼女の脳裏に妹に泣きついた先日の自分の姿が蘇った。 その光景がカトレアの胸で泣き続けるルイズと重なる。 鋼の令嬢とまで呼ばれた彼女にとって、あの失態は闇に葬りたい過去だ。 もし使用人が目撃したならば即座に生き埋めにし、 掘り返されないように真上に教会を建築していたであろう。 見ているだけで恥ずかしい記憶を揺り動かされるという、正に生き地獄。 遂に耐えかねたエレオノールが飛び出して叫ぶ。 「ここにいたのね、ちびルイズ!」 「え、エレオノール姉様!?」 恥ずかしさからか、飛び跳ねるようにカトレアから離れるルイズ。 その彼女目掛けてエレオノールは手を伸ばした。 一瞬にして彼女の頬を抓り上げると教師のような面持ちで彼女に告げた。 「『お』が抜けてるわよ」 「ほ……ほへんはひゃい……へれほほーるほへえはは」 じゃれあうような姉妹喧嘩、それを遠巻きに見ているカトレアがくすくすと笑う。 幼き頃より当たり前のように繰り返されてきた日常の風景。 だけど、いつの日かルイズは思うだろう。 姉妹で共に過ごしたあの日々は黄金にも勝る思い出だったと。 エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール ……心配かけさせた分、滞在期間中ずっとルイズを思う存分抓る。 彼女を見送った後日、バーガンディ伯爵から『もう限界』と言う言葉を最後に婚約を解消される。 そのストレスは後に訪れるルイズと平賀才人に向けられる事となる。 カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ ……勝手に部屋を抜け出した事でエレオノールにこっぴどく叱られる。 ルイズの滞在中は自室で大人しく動物達に絵本を読み聞かせて過ごす。 カリーヌ・デジレ ……彼女の機嫌が直るまで使用人でさえ迂闊に近づけない緊張状態が続く。 ラ・ヴァリエール公爵 ……再起不能。滞在期間中も面会謝絶状態が続き、ルイズと会話できないまま別れを迎える。 この寂しさと悲しみは後に平賀才人に八つ当たり気味に炸裂する事となる。 戻る 目次 進む
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前ページ次ページゼロの使い魔(サーヴァント) ――間桐臓硯は勝利を確信していた。 確かに、企みの全ては潰えたかのように見える。 不完全ながらも用意した擬似聖杯は衛宮の魔術使いによってその機能を破られ。 間桐が二百年かけてこの地に育んだ蟲たちは遠坂の小娘によって根絶やしにされ。 あまつさえ、聖杯戦争の中枢をなす大聖杯をしてすら、たった今、剣の英霊の宝具によって撃ち砕かれた。 全ては終わったかのように、誰もが思うだろう。 しかし、違う。 違うのだ。 勝利とは、相手を全て滅ぼすことではない。勝利の条件を満たしてこその勝利である。それらが果たされてないのならば、例えこの三人の強敵の全てを殺しても意味はない。 この場合に於ける彼の勝利とは、「生き延びること」の一点にのみあったと言ってもいい。 擬似聖杯が失われた? また作ればいい。 蟲が全て潰された? また増やせばいい。 大聖杯が壊された? また、もう一度、作り直せばいい。 困難なことではある。 だが、決してやってやれないことではない。 何故ならば、今この三人の強敵たちは、使命を果たしたという直後に油断しているからだ。いや、油断というには足りないかもしれないが――微かにも緊張の緩みはある。 そこを衝く。 間桐臓硯は勝利を確信していた―― 蜘蛛の糸、という短編小説がある。 芥川龍之介の手になるその話は、どうにも誤解されて広まっている節があるが、少なくともちゃんと読めば釈迦はカンダタを試していたなどということはない。 解釈は分かれるだろうが、基本的に釈迦は地獄から一人でも救いたくて、僅かながらでも善行為に対して報いるという形をもってして地獄へと四万里もの長い糸を垂らしたのである。 その時に大空洞の天井から延びた蜘蛛の糸は、その小説を思い出してしまいそうなほどに長かった。 間桐臓硯である。 この大魔術師は、用心に用心を重ねていた。 元より予定外の擬似聖杯の発動によって大幅に前倒ししての今回の計画は、最初から失敗することを前提としているものだ。 第五次聖杯戦争から四年――勝利者である遠坂凛と衛宮士郎は、セイバーを伴って倫敦にいっていた。次の聖杯戦争が起こるとしたらいつごろであるのかは予想はつかないが、それはこの三人のいないところで行われるのが好ましかった。 しかし、そうはならないということも想像がついた。 この三人は、どんな場所でいようとも聖杯戦争の兆候があればすぐさま冬木に舞い戻り、当たり前のように聖杯を壊し、ついでのように彼の野望をも打ち砕くに違いない。 遠坂凛という魔術師はそういう娘であり、衛宮士郎という魔術使いはそういうで男であり、セイバーという英霊はそういう二人にだからこそ現世に留まってまで仕えているのだ。 (最悪、大聖杯までも壊される) そこまで考えるのは当然だ。 いや。 そうされるのは確実なのだ。 ならばどうする? 大聖杯を壊されてどう望みを果たす? どうやって不死を得る? 間桐臓硯はそこまで考えた。 自分が彼らを出し抜けるということは、あまり考えなかった。 出し抜けるにしても、自分の望みをここで果たせるなどとまで都合のいいことは考えなかった。 何故ならば、彼らはあの黄金の英雄王を打ち倒した存在だからだ。 最強の最高を打ち倒した、現代の英雄たちなのだ。 生半なことで勝てようはずもない。 それならば。 それならば、考え方を変えよう。 望みを果たすのは、別にここで、今この時でなくてもいいと、そう考えるのだ。 いかに英雄であろうと、定命の存在だ。 彼らが死んでから、改めて大聖杯を構築し、新たに聖杯を用意すればいい。 大聖杯を築くのは自分とアインツベルンの聖女をして単独で成し得なかった大事業であったが、それは後で考えればいい。 時間は幾らでも、とは言えないが、魂が腐り尽くすまでにことをなしたらそれでいいのだ。 焦ることはない。 そう、考えるのだ。 間桐臓硯はそう考えた。 考えてから、しかし大聖杯の構築となると骨が折れるな……とぼやく。 新たに宝石翁が協力してくれるという可能性はまずない。 遠坂の魔術師も、アインツベルンも、二度とこの地でこの儀式を再開しようなどとは思わないだろう。 そう思うと、生き延びたからといって再起も望めそうになかった。 ならばやはりこのたびに全てを賭けるべきだろうか―― いやいや。 考え方をもっと変えるのだ。 遠坂の娘は魔法使いにまで届く可能性を秘めている。 衛宮の男は英霊にまで至る可能性を秘めている。 そして、従えている英霊はかつての王であり、未来の王たるアーサー王だ。 この三人を利用すれば、新しい大聖杯を構築することも不可能ではないのでは? そして考えた末に到達したのが、今の姿だ。 ――蜘蛛となって、衛宮の男にとり憑く。 何故羽虫のような機動性のあるモノにならなかったかといえば、それはエネルギーを消耗しすぎるからである。必要最小限の力で挑まなければならないのであるから、やむを得ずにそうしたのだ。 囮として機能させるためにも、擬似聖杯に残した体にはできるかぎりの力を残しておかねばならないからだ。 そしてどうして遠坂ではなく衛宮を狙ったかといえば、単純に耐魔力の問題である。 遠坂は魔術刻印も持ち、異物である自分が取り付いた途端にそれを排除しようとする魔術が働く可能性も考えられたし、衛宮の方を残したのならば何かの宝具でどうにかされてしまう可能性もあったからだ。 それに、衛宮と遠坂はいずれ閨で睦み合うことだろう。 遠坂にとり憑くのはその時にしてもいい。 この男の体内で淫蟲を育て、精と共にそれを遠坂の胎内に送り込めば――自分は、魔法使いをも手中のモノにできる。 そう考えたのである。 セイバーに至っては論外である。 英霊をも縛る魔術を開発したのは間桐の当主である自分であるし、主たる二人を虜にすればセイバーとても逆らえるものではない。 もしも擬似聖杯の方が成功したのならば、それはそれでいい。 必要なのはただ一瞬の隙。 全てのことが成就したと思わせる瞬間。 勝利した、と思わせたただその刹那、その時にこそ彼らの敗北は決定しているのだ。 ……間桐臓硯の魂は腐敗していた。 だから、気づかない。 勝利したと思われた刹那の心の緩みとは、彼自身にも当てはまるものであると。 セイバーの直感は、未来予知に似ている。 それは例えばあの英霊エミヤの如き数限りない実戦経験により磨きぬかれた戦術眼というよりは、異能の如き認識力と言ってもいい。 異能であるが故にその幅は狭い。 だが、その先鋭は到底エミヤの届くものではない。 だから、彼女は宝具を使用した直後にありながらも、あるいは「だからこそ」それに気づいた。 後ろで見守る衛宮士郎に危機が訪れつつあると。 訳もなく察知した彼女は、だからこそあり得ぬ速度で振り向いた。 唐突な彼女の行動に主たちは一瞬だが硬直したようだった。 なんの反応もできていない。 そして、セイバーはそれを見た。 天井から――遥かに高いこの大空洞で、震動と衝撃に揺れながらも、まっすぐに彼女の主たる衛宮士郎の首筋に降りようとした小さな蜘蛛の姿を。 それが敵だ、という確信は何処から得たのか。 それこそ直感という他はない。 そして剣士の英霊としての判断は、それを絶望と共に認識している。 (この距離では) 間に合わない。 いかに彼女が剣の英霊であるとはいえ、士郎との間には二十メートルはあった。 それは安全な距離をとらせたからであるが、今ここでは絶望の断絶だった。 百メートルスプリンターであるのならば最速で二秒で駆け抜ける距離は、英霊たる彼女には一秒もかかるまい。 だが、それでもなお遅い。 あの蜘蛛は彼女の手が届くまでに士郎にとり憑く。 それは確かな判断だった。 よもや剣士の英霊たる彼女が、間合いという最も重要で基本的なファクターを読み違えようはずもなく―― そして、最上の剣の英霊であるからこそ、彼女がそうするということは誰にも想像がつかなかった。 振り返る勢いのままに、彼女はその手にある聖剣を投擲した。 剣は彼女の宝具である。 宝具は英霊のシンボルであり、同時に誇りでもあった。 それをその手から離すというのは、生半な覚悟でできることではない。 間桐臓硯はそのことも範疇には考えていた。 だからこそ、もっとも二人が距離をとるだろうこの瞬間を選んだのである。 彼の誤りは、剣士の英霊が最上のさらに上、極上とも言える存在であったということだ。 戦場を駆け抜けた王であったことだ。 アーサー・ペンドラゴン――ペンドラゴンとは、「戦の王」を意味するという。 それがもっとも必要であるとするのなら、彼女は自分の命さえも投げ捨てて戦ったのだ。 それが最高の聖剣であろうと、そうすることを厭うはずもない。 剣は、光となって士郎の首の上を通過した。 微かな断末魔の響きが轟音の中に聞こえた。 それが間桐臓硯の本当の最期であると、衛宮士郎と遠坂凛は、この時に知った。 そう。 この日に、永らく続いていた聖杯戦争は本当の意味で終わりを告げたのだ―― そして、その日のうちに、唐突にセイバーの新たな戦いが始まったのである。 ◆ ◆ ◆ 我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 「……なんだ、これ?」 漸く、最後の敵を討ち果たせたという喜びもつかの間、衛宮士郎は目の前に突然現れたそれを見て眉をひそめた。 高さは二メートルほど、幅は一メートルほどの楕円形だ。よく見ると少し浮いているようだった。 それは、光る鏡のように見えた。 どう考えても、自然現象ではあり得ない。 「士郎! 下がって!」 その時、遠坂凛は前にいた士郎を蹴り飛ばし、右手の指をそれに向けた。 ガント――彼女の得意の魔術だ。 五つの力を司るペンタゴンよ 「――――効かない!?」 というよりも、吸い込まれていったように見えた。 フィンの一撃と言うに足る彼女のガントが、その鏡(らしきもの)を貫通することもできずにいるのだ。 「投影、開始!」 身を翻しながら士郎がその手に投影したのは、騎士王の聖剣――カリバーンだ。 余力はほとんど残っていない。 だが、少しはある。 その少しの力の全てをここに集約して作り出したのである。 だが。 「どいてください、シロウ!」 聖剣を振り上げた士郎をさらに押し退け、セイバーがそれに突っ込んだ。 (宝具は壁に突き刺さったままだが――私の対魔術があれば) なんとか、かき消せる。 事実上、人間の魔術では彼女を傷つけることはできない。 セイバーはそう判断した。 例えこれが英霊の身であっても滅ぼす罠であろうとも構わない。 自分の主たちが助かるのならば。 彼女は覚悟を決めていたのだ。 そして―― そのままセイバーは、鏡(らしきもの)の中に消えた。 我が運命に従いし、〝使い魔〟を召喚せよ! ………。 「問おう」 その人は、突然の嵐を巻き起こし、現れた。 この瞬間の光景を、私は例え地獄に落ちても忘れないと思う。 青銀の鎧、金紗で作られたかのような髪、翠の瞳。 その存在そのものがひとつの奇跡のようだった。 例えようもなく、美しかった。 そして、その人は私を見下ろし、輝く風のような声で言ったのだ。 「貴方が私のマスターか?」 ゼロの使い魔(サーヴァント) プロローグ 了 前ページ次ページゼロの使い魔(サーヴァント)